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『人生は攻略できる』を読んだ

表紙だけ見ると怪しい雰囲気がわりとある

この本のタイトルとか表紙を見たとき、直観的に「この本ちょっと苦手かも」と思ったのだが、以前同じ著者が書いた『無理ゲー社会』を読んで面白かったので買ってみた。

どうすれば幸せな人生を送ることができるのか?というのが本のテーマなのだけど、この手の本にありがちな自己啓発を煽るような表現はほとんどない。

というかむしろ、研究や統計をベースに淡々と語ったうえで『ウマい話は君のところにはぜったいに来ない』(原文ママ)と書かれている。なるべく小さなリスクの範囲内で試行錯誤せよ、というのが本書の大きなメッセージのひとつだ。

たぶん10代後半~20代前半あたりの人に向けた本だけど、30代の人でも参考になりそうな気がする。いろいろな話が載っているが、とりあえず今の自分にとって印象深かったことだけ書く。


本に書いてあった印象深いこと

「幸福の資本」は全部で3つ

幸せの形は人それぞれだけど、その土台となる要素として3つの「幸福の資本」がある。

  • 金融資本(お金)

  • 人的資本(仕事)

  • 社会資本(友情・愛情)

不幸(貧困)な状態とは、この幸福の資本をひとつも持っていない状態のこと。逆にひとつでもあるなら、幸せかどうかはともかく不幸ではない。

当然3つぜんぶ持っているならそれはもう幸せなのだが、時間が有限であることや、お金と友情・愛情が反発しやすい(片方を得ようとするともう片方が減る)ことから、3つぜんぶを高いレベルで保持するのはとても難しい。

まずは幸福の資本のうちどれかひとつ、得やすいものを確保(もうあるならそれを大事に)して、それから目指す幸せの形に必要なもうひとつの資本を確保するよう努力する、というのが堅実。ふたつあるなら、一時的にひとつ失ってもカバーが効く。

そして、人的資本(仕事)は金融資本や社会資本を生み出すことができるので重要だ。基本的には若い方がたくさん働けるので、若者は潜在的な人的資本が大きい。


自分の無意識と仲良くする

人は誰でも、いろんなものや人を無意識に自分に合うか合わないか判断している。この無意識の自分(「スピリチュアル」と表現されている)が持つ力は凄まじく、意識の力で抑え込むことは難しい。

それでも無理やり意識によって無意識を抑え込む、つまりイヤなことを我慢してやると、自身が内側から破壊されてしまいかねない。なんでもかんでも「やればできる」わけではない。

一方で「やればできる」のが好きなこと。努力すればもっと好きになるし、得意になるし、周囲から認めてもらえるようになる。そんなわけで、自分が好きなことを仕事にするべき。それが不可能であれば、「とりあえずできる」ことでもよい。

好きなことを仕事にするには、いろんな仕事をどんどん試してみること。仕事をしてみたらどうも内容や環境が合っていなかったのですぐ辞める、というのは現代では珍しくないし、むしろ健全だ。年齢を重ねると経験のない仕事は雇ってもらうのが難しくなるので、仕事を変えるなら早い方が良い。

大事なのは、「イヤだ」と思ったもので妥協しないこと。そして、「好きだ」と思ったら、努力を惜しまないこと。これは、恋愛にも当てはまる。


読んでて思ったこと

自分にとっての「幸福の資本」は、金融資本以外は無くはないといったところで、自信をもって「ある」と言い切るには厳しいものがある。いま一番ラクに伸ばせるのは人的資本だと思われるので、ひとまずここから伸ばしていきたい。友情・愛情の獲得も大きな課題だけど、すごくたくさん努力する必要がありそうだ。

勇気づけられるのは、イヤなものはきっぱり拒否していい、と明言されていること。小さい時から「苦しくても我慢しろ」といろんな大人から言われ、いろいろ押し付けられて育ってきたが、そもそも我慢してまで苦しいことを続けたい人はいないはずだ。もっとも、好きなことに対する努力となると話は少し変わるだろうが。

押し付けられると言えば、本書はこうした方がいい、これはしない方がいい、という書き方をしているのも良かった。本書のタイトルも『人生は攻略できる』であって『人生の攻略法』ではないし、あくまで選択肢を選ぶのは読み手の側にある、ということなのだろう。

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