ゲームエイトが 3つのバリューをつくったわけ/創業者・西尾健太郎インタビュー
写真↑は終業後に誰も付き合ってもらえず、ぼっちでトレモする西尾
なぜバリューを作る必要があったのか?
ー このインタビューでは、ゲームエイトのバリューを作ることになった背景やそこに込めた思いについて、お話を訊きたいと思います。まずバリューを作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
西尾:第一に、スタッフのバックグラウンドの多様化が進んできた、という経緯があります。多様性は組織を強くする上で重要ですが、同時に目線を揃えていくということも必要で、行動指針をバリューとして言語化したいと思ったんですね。
ー 組織の多様化とは、具体的にどのような変化が起きているのでしょうか?
西尾:これまで、ゲームエイトのメンバーはライターアルバイトとして入社して正社員になるというキャリアパスがほとんどでしたが、最近は他社でビジネス経験を積んだ中途社員も増えています。仕事の進め方やスキルなど、新しい価値観が混ざり合う中で、今までとは組織のありかたが大きく変わってきているんですよね。
ー 阿吽の呼吸、のようなものが通用しなくなるわけですね。中途のメンバーが増えていったのはどうしてでしょう?
西尾:今まではアルバイトを含むスタッフが自ら動いて必要なボールを拾いに行くことで、事業が大きく成長してきました。メンバーそれぞれの独自な成長によって事業が支えられていたんです。ただ、その成長が急激に進み続ける中で、次のステージに行くためには組織を一段上へアップデートする必要性があったんですよね。経験豊富な中途社員と既存のメンバーとの化学反応によって、組織が大きくレベルアップするための過程に今はあるのかなと。
ー そこで、会社としての価値観を示す「バリュー」が必要になったというわけですね。
西尾:そうです。会社も人も常に変化し続けますよね。良い文化だけを選んで残すために、バリューを明文化することの必要性を感じたんです。それは新たな成長の指標にもなるし、既存のメンバーと新しいメンバーの目線や課題感を揃えていくためにも力を発揮すると思っています。
あとは社員総会でその年もっともバリューを体現したスタッフの表彰など、スタッフのモチベーションアップにつながるような使い方もしていきたいですね。
文化を残すためのものと、文化を作るためのもの
ー ゲームエイトのこれからを決める3つの「バリュー」に込めた思いを、それぞれ訊いていきたいと思います。まずは「Addicted to.」から。
西尾:これはゲームエイトで一番重要なバリューだと思っていて、実はみんなが既に体現しているものでもあります。ゲームエイトには、仕事に夢中になれるメンバーが本当に多いんですよ。ゲームに夢中になれなければ良質な攻略コンテンツは作れないし、コンテンツ制作に限らず、広告運用の技術を用いればたくさんの人へ影響を与えることもできる。夢中になれるような環境ができつつあるのかな、と。
ー 夢中になれるからこそ成し遂げられることもある、と。
西尾:まさにそうですね。今は全社的に高いレベルで「夢中」を共有できていますが、今後会社が大きくなるにつれてその比率が下がってしまわないかという危機感がありました。なので、今までもこれからも大切にすべき価値観として、Addicted to./夢中になろう」を定めました。ゲームに夢中になると、仕事へも夢中になれる。すると事業が成長していき、自分も成長することができる。そして会社のことが好きになって、もっと色んなことへ興味が増えて、できることが増えて、人生に夢中になれる。そんなサイクルの原動力となるバリューだと思っています。
ー ゲームエイトの中核そのものと言える価値観かもしれませんね。次に「Based on Flat.」について教えてください。
西尾:これは、実はもともと意識していなかったのですが、インタビューやワークショップの中で会社にまつわるキーワードとして「フラット」「自由」「挑戦できる」といった言葉がよく出てきました。これを深掘っていくと、「役職に壁がなく、フラットに物事に取り組める風通しの良さ」がこの会社にあるとわかってきました。
ー スタッフの中で自然発生的に生まれた文化だったんですね。
西尾:ただ、振り返ると、職種や背景にとらわれず色々なことに挑戦することができる環境を用意したいというのは常に意識していたことです。逆に言えばどんなポジション、入社タイミングのスタッフであっても、「信用」をベースに仕事を任せているということですね。これは会社が大きくなっていっても守っていきたい文化だと思っています。フラットだからこそお互いの信用がなにより大切になるんですよね。
ー 最後に「Conscious of PRO.」について教えてください。
西尾:「Conscious of PRO.」は、最もチャレンジングなバリューです。前提として、スタッフみんなが自分の仕事に対して当事者意識を持っているんですよ。だけど、もう一段高いレベルの「当事者意識」を求めたい。自分が会社を背負っている自覚と覚悟、それを持つメンバーが増えていったらいいな、という願いが込められています。
ー 他の2つが「文化を残していくためのバリュー」だったのに対して、これは「新たな文化を作るためのバリュー」ですね。なぜ今までよりも一段上の当事者意識を求めるのでしょう?
西尾:理由は2つあります。まず一つは、今までの原動力だった「夢中になる」と「フラットな環境」の価値を最大化するということ。ゲームエイトが持つカルチャーを、会社と個人の成長へ繋げていく意志を持つことができたら、すごい結果につながるはずなんです。そしてもう一つ、僕がこの会社を通して最終的にやりたいことは、ゲームエイトがみんなの成長のきっかけになるということです。ゲームが好きで、ゲームだけをやり続けてきた人が、ゲームエイトに入社して業務に取り組む中で、ビジネスマンとしてどんどんスキルを身につけて活躍していく。これまでも実際に起きてきたことですが、実現するために常に高い当事者意識が必要になってくるんですね。スタッフだけでなく、マネジメントや経営含めて、みんなで取り組んでいかなければならないバリューです。
スタッフそれぞれの顔を思い浮かべながら、事業を俯瞰した判断をする
ー ここまでのお話を伺っていて、会社の成長と同時に人の成長を強く意識されていると感じました。この考えは創業当初から持っていましたか?
西尾:実を言うと、最初は意識していなかったんです。立ち上げのときは、資金が豊富なわけではなく、いきなり人をたくさん雇えるわけでもなかった。アルバイト中心のチームでやる必要があって、社会人経験のないゲーム好きのメンバーとともに、どうやって素晴らしい結果にたどり着けばいいのか、たくさん考えました。それで、まずはひとりひとりと徹底的に向き合うことにしたんです。
そこでわかったのは、みんな才能を持っているのに、これまで適切なチャンスが与えられてこなかったんだということ。例えば海外事業の責任者を任せているスタッフも創業当初からアルバイトとして働いてくれていますが、会社において重要な存在です。彼だけじゃなく、ゲームエイトを支えているメンバーたちに教わった考え方ですね。
ー すごくいい話ですね。
西尾:個人のステップアップのことをここまで考えている会社は他にないだろう、と言い切れるくらい、考え続けています。たとえば会社をやめるにしても、本人のキャリアアップにつながるなら喜んで背中を押したいと思っています。ただ、現時点でこの業界、この業種で働くなら、僕は自信を持ってゲームエイトをおすすめできると思っていますし、そうあり続ける努力は惜しみません。
ー お話を伺っていると、社長として色々と考える必要がある中で、「人」について考えている割合が大きいと感じます。
西尾:こう言うとドライに感じられるかもしれませんが、僕は事業を優先して物事を考えているタイプなんです。事業における兵站、つまりゲームエイトで言えば、ゲームの攻略サイトを運営していくにあたって「人」の側面が極めて重要度が高かった。なのでそこを大切にしていった結果が、今の会社文化に大きく影響したと考えています。
ー ある意味で合理的な判断なんですね。感情論で動いているのではなく、戦略的な経営判断にもとづいているのは逆に安心感があるとも言えます。
西尾:もちろん、事業も人もどちらも大切ですが、考える上では事業から先に考えねばならないというお話です。その結果として今のような会社の文化ができたわけですしね。社長として経営を判断する上で、企業文化こそが重要な資産だと捉えています。あくまで事業ドリブンな組織として、文化が必要なんですよ。ここは、スタッフそれぞれの顔を思い浮かべながら、事業を俯瞰した判断をするという、非常に難しい作業だったりします。
ー ありがとうございます。それが西尾さんの持つ資質というか、安心感につながっているのかもしれません。最後に、今のゲームエイトについての思いを伺いたいと思います。
西尾:インタビューを通して他のメンバーの気持ちや考えを改めて感じることができましたし、今回は表に出ていないけれど、同じように考えてくれているメンバーがたくさんいると思っています。バリューの制定をきっかけに、こういう会話が増えるといいし、この環境を作れたことは素直によかったな、嬉しいなと思います。まだまだゲームエイトは成長途中。組織の力、メンバーそれぞれの力で、もっと大きな目標を成し遂げられそうだなって、僕が一番楽しみにしているんですよ。