
おやっさーーん!!「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」
風都探偵 仮面ライダースカルの肖像 鑑賞。
— 昼行灯 (@gamconp) November 9, 2024
最高でした。見終わった隣の女性二人組が「なんで期間限定なのよー!」の叫んでいた。確かにw
風都探偵は、仮面ライダーWの続編として週刊スピリッツに連載中の漫画であり、2022年に連続アニメ化もされ、更に舞台化もされている作品です。
今回入場者特典として配布された冊子のインタビューでも言及されていましたが、青年誌掲載ということもあり、当初は「仮面ライダー」であることも伏せられていました。そのためWの熱心なファンも、翔太郎、フィリップが登場する「その後」の物語であることは間違いないものの、本当に仮面ライダーに変身するのか、については半信半疑で見守っており、初変身シーンが掲載された号では、SNSでもどよめきに近い盛り上がりがあったことを覚えています。
そんな盛り上がりを続けている風都探偵。先に配信、地上波等で公開されたアニメも、W愛、仮面ライダー愛、特撮愛に溢れた作品に仕上がっており、4巻までのストーリーを見事にアニメに落とし込んでくれていたと思います。
そして今回満を持して劇場アニメとして登場した本作。
ストーリーは6巻に描かれた(風都探偵は原作の仮面ライダーWの前後編エピソードにならい、各巻で1エピソードが完結する方式を採っている)、「sの肖像」をアニメ化しています。
これは実写映画「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010」で描かれた「ビギンズナイト」を肉付け、再構築したエピソードであり、翔太郎と鳴海荘吉(おやっさん)の出会いや、当時のミュージアムの思惑を、風都探偵でのヴィランである裏風都のメンバーも絡めて語っているものでした。
TVアニメサイズでは1巻分を22分×3話で描いているため、映画にすると短いかな、と思っていましたが、本作のランタイムは82分ほど。ではどこが増えているかというと、
・個々のシーンの丁寧な描写(妄想サイクロン・スカルのアニメーションとか最高)
・漫画版にはいないミュージアム側のドーパント(声:福山潤)とのクライマックス戦闘
と、映画版にふさわしい肉付けをしてくれていました。
本作のオリジナルドーパントである「オーシャン」は勿論ドラマ版、風都探偵でもデザインを手掛けている寺田克也さん。これだけ多くのドーパントのデザインを手掛けても、皆きちんと個性が出ているのが流石すぎます。
オーシャンドーパントの大嶋も、福山さんの声により、多くない出番ながら、かなり印象に残るキャラクターになっていたと思います。私自身、原作にも居たけど忘れていたかな?と思ったほど。
そして何より、本作では津田健次郎さんが演じる鳴海荘吉が本当に素晴らしかったです。ツダケン声のおやっさんは初めてなのに、昔から聞いているような安心感と、時折自嘲気味に反省する声の演技に、ずっと涙ぐんでいました。
スカルの戦闘アクションも本当に全部素晴らしく。本作ではエンドロールに「仮面ライダー作画監督」「ドーパント作画監督」が記載されるなど、専任のスタッフが気合を入れて描写していることがヒシヒシと伝わり、実際描かれるアクションも見ているだけで涙が出るほどでした。
また、声優としては参加していませんが、実写版で鳴海荘吉を演じた吉川晃司さんは、テーマソングに挿入歌と、歌の方で抜群の存在感を示していました。それもあって本作の鳴海荘吉=吉川晃司=津田健次郎の図式がスムーズに観客に浸透していった気がします。
風都探偵は既刊17巻で、まだまだ未アニメ化のエピソードは山積みなのですが、このクオリティで描いてくれるのでしたら、2年に1巻分ずつ映画でアニメ化してくれるのも大歓迎だなあ、と思ったりしました。
前述の特典冊子には、風都探偵作画の佐藤まさき氏によるオリジナルエピソードに加え、三条陸氏らのインタビュー、設定資料等が掲載される永久保存版的価値のあるものでした。
また、パンフレットは千円で、特典冊子との差別化もあるのか、インタビューは主演声優に監督、作画スタッフのものが多めになっていました。
本作は3週間限定公開で、おそらくその後はU−NEXTで有料配信されるとは思います。
ただ劇場での上映を想定した音響や、崩れもほとんどない作画など、やはり映画館の大画面、大音響で楽しむように作られている作品だと思いました。公開館は決して多くなく、私も神戸に出かける用事がなければ見れなかったかもしれない作品ですが、上映館が近くにある人は、ぜひ見に行ってほしい作品だと思います。