ガリレオ新訳・英語解説|Winnie-the_Pooh Ch.3 #1
ここでは、プーとピグレットが狩りに出かけて、
もうちょっとでズルイタチをつかまえそうになるよ。
子ブタのピグレットは、ブナの木の真ん中の、それはそれは立派なお家に住んでいてね。そのブナの木というのは森の真ん中に生えていて、ピグレットはそのお家の真ん中で暮らしていましたとさ。家の隣には割れた木の板があって、そこには「ハイルナー・W」と書かれていました。クリストファー・ロビンが「それってなんなの?」って尋ねたことがあったんだけど、ピグレットが言うには、おじいちゃんの名前で、もうずぅ〜っと長いこと家族に伝わってきていたんだって。クリストファー・ロビンは、「ハイルナー・W」なんて名前の人なんているはずないよって言ったんだけど、ピグレットは、「いるよ、だっておじいちゃんがそうだったんだもの。それに、この名前っていうのは『ハイルナー・ウィル』を縮めて、しかもそれは『ハイルナー・ウィリアム』を縮めたんだよ。」と答えました。なんでも、ピグレットのおじいちゃんは、ひとつ無くしてしまったときのために、名前をふたつ持っていたんだそうです。叔父さんを継いで「ハイルナー」、それに次いで「ウィリアム」ってね。
「ぼくにもふたつ名前があるなぁ。」クリストファー・ロビンは、ふぅ〜んといった感じで言いました。
「でしょ?それが証拠だよ。」とピグレットが答えます。
IN WHICH POOH AND PIGLET GO HUNTING
AND NEARLY CATCH A WOOZLE
The Piglet lived in a very grand house in the middle of a beech-tree, and the beech-tree was in the middle of the forest, and the Piglet lived in the middle of the house. Next to his house was a piece of broken board which had: “TRESPASSERS W” on it. When Christopher Robin asked the Piglet what it meant, he said it was his grandfather's name, and had been in the family for a long time. Christopher Robin said you couldn't be called Trespassers W, and Piglet said yes, you could, because his grandfather was, and it was short for Trespassers Will, which was short for Trespassers William. And his grandfather had had two names in case he lost one—Trespassers after an uncle, and William after Trespassers.
‘I've got two names,’ said Christopher Robin carelessly.
‘Well, there you are, that proves it,’ said Piglet.
The Piglet / Piglet
Chapter 3では、最初の2文だけ Pigletに定冠詞 theがついている。一般名詞としての pigletは「子ブタ」のことで、定冠詞がつくと「特定の子ブタ」—すなわち、ここでは物語に登場するキャラクターとしてのピグレットを指す格好になる。
ただし語頭の Pが大文字であるため、固有名詞扱いと考えられる。つまり、第3文以降の "Piglet"(冠詞なし)は明らかにキャラクター名として用いられているのに対し、定冠詞つきの "the Piglet"は、いわば「子ブタのピグレット」のように、特定の子ブタのキャラクターを物語内に導入する役割を果たしていると言えるだろう。
似たような定冠詞の使われ方は Alice's Adventures in Wonderlandでもなされており、「白ウサギ」というキャラクターは原文では "the White Rabbit"と定冠詞つきで表記されている。
in the middle of: 繰り返しは3回
冒頭の文では ‘in the middle of’というフレーズが「3回」繰り返し用いられており、リズムが生まれている。
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