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七夕と伝統的七夕

7月7日は七夕。笹に七夕飾りをつけて、短冊に願い事を書いて笹に吊るして、夜には星を眺める。日本に伝わるとても素敵な文化です。もしかしたら、1年で一番多くの人が宙や星に興味を示すイベントかもしれません。

七夕の文化が日本で始まったのは奈良時代頃と言われています。中国の七夕伝説が日本に伝わったことが始まりです。
七夕伝説に登場する織女(しょくじょ)が機織りや裁縫の達人で、織女にあやかって針仕事が上達するように針や五色の糸を祭壇に飾って星に祈りを捧げる乞巧奠(きこうでん)と呼ばれる祭りが日本の七夕祭りの原型です。
最初は宮中の貴族だけのお祭りでしたが、江戸時代になると庶民にも伝わり、七夕の日には街中に鮮やかな七夕飾りを吊るした笹が立ち並びました。

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昔から変わらず親しまれてきた七夕ですが「いつ」七夕の日を迎えるかが変わりました。「7月7日」には変わりないのですが、今と昔では使っているカレンダーが違うため、昔のカレンダーでの7月7日を今のカレンダーに当てはめると2021年は8月14日になり、約1か月分の差が生まれてしまうのです。
昔は月の満ち欠けを基準に日付を決めた旧暦が使われていました。新月になる日を1日、その次の日を2日・・・また新月になったら次の月の1日、という具合に暦を数える方法です。
一方で、今のカレンダーは太陽が基準です。地球が太陽の周りを1周する時間を1年として、日付が決められています。旧暦に対して新暦と言ったりします。
旧暦と新暦で日付の数え方が違うため、7月7日も違うタイミングにやってきます。七夕文化が始まった頃は旧暦が使われていて、梅雨が終わり夏晴れの時期に七夕を迎えます。なので宙に輝く織姫星と彦星、天の川を観察することができたのです。
新暦の7月7日だと梅雨時期であることが多いですよね。雨だと星は見ることができません。使われるカレンダーが変わったことで、七夕の内容と実際の季節感にズレが生まれてしまったのです。

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「7月7日の七夕を廃止して8月の七夕に統一すれば?」と思った人も過去にいたかもしれませんが、そうはなっていませんね。無理やり統一してしまうよりも、七夕の日と旧暦の七夕の日、どちらも楽しもうというスタンスになっています。
旧暦の七夕の日にもっと親しみをもってもらうために国立天文台は「伝統的七夕」という呼び名で普及活動をしています。伝統的七夕の取組は各地の科学館や天文台を通して全国に広がりつつあり、少しづつですが知られるようになってきました。
七夕と伝統的七夕、どちらが良いとか正解とかはありません。どちらも大切な日本の伝統文化として親しんでもらえたら、と思います。
国立天文台では、2030年までの伝統的七夕の日を公開しています。ぜひ、今年は伝統的七夕も宙を見上げて楽しんでみてください。

★国立天文台 伝統的七夕について
https://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html

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