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そうめんでワンランク上の世界を垣間見る

手の届く範囲での贅沢はときに自分の常識を覆すきっかけとなる。たまに背伸びして別世界を味わう、という話

たいそうなタイトルだが、そうめんの話である。

たまたまTwitterで飛んできた情報からあるそうめんを購入したのだ。そのそうめんとは王道中の王道「揖保乃糸」であるが、おそらく贈答品としてつくられたのであろう「三神(さんしん)」という代物だ。

私はまったく知らなかったのだが、揖保乃糸には通常スーパーなどで売っているものの他に数種類ものランクがある。

「太づくり」「上級」「熟成麺」「播州小麦」「縒(より)つむぎ」「特級」そして「三神(さんしん)」だ。スーパーでよく目にするのは「上級」だそうだ。

その「三神」、サイズや販売元で値段はまちまちだが、1束なんと約270円。家で食べるにはちょっとした贅沢なのだ。

そして気になる味はといえば・・・別次元である。今まで食べていたのは何だったのか、といわんばかりの上品な味。通常よりやや麺が細いのもあり喉越しも最高なのだ。味オンチな私でもその違いに感動し、すぐさま再度購入し、普段お世話になっている方々へ送り付けたのだった。

このそうめんに限らず、私はお金に余裕があるわけではないが、たまにこうした身分不相応なお金持ち疑似体験的なお金の使い方をする。

そうすることでお金持ちの気持ちが理解できるというわけではないが、自分が普段当たり前としている生活に亀裂が入る。自分の収入に見合わない高級ホテルに泊まってみたり、職人が丹精込めて作り上げた一点ものを購入してみたり、質の高いものに触れることで得られる情報や経験は大変な学びになると思うのだ。

疑似体験が終わり、我に返るとホッとする反面、その落差に涙がこぼれそうになるが、普段の私は「吉野家」が好きだし、車は国産車だし、平均的な40代のフツーのおっさんである。

しかしながら、そうした経験から上質なものの上質たる所以や価格に見合ったサービスなどは商売をする者にとって気づきの宝庫であることが多い。時折、大枚をはたいたにもかかわらず、がっかりするような経験もなくはないが、それも経験として学びにはなると考えている。

この価格ならこの程度は求めるだろう、という想定が顧客目線で感じることができ、自身の商売で提供するものに換算した場合はどうだろうかと考えるのだ。弊社の提供するものもけっして安くはないということもあるが、ついつい顧客目線を忘れてしまいがちなのである。

100万円を支払うのはどんな気持ちか、それがわからなければ100万円のものは売れないのだと思う。そのお金の出所がどこからかということにもよるし、その人の収入や資産によっても感覚は違うと思うが、一般的に高額なものを購入するという行為はそれぞれの思い入れが存在すると思う。

弊社も年々扱う額が上がってきたこともあり、より一層対象の顧客目線の強化をせねば、という建前上の言い訳を並べて、最高級そうめんの味を堪能するのだった。

上質なものに触れる機会は新しい気づきを与えてくれる。たまにの贅沢は常識を覆してくれる



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