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【生産性】「忙しい」=「充実」は商売の場合マイナスかもしれない

商売において、目の回る忙しさが必ずしもプラスの成果を生むとは限らない。その忙しさは内容を把握する必要がある、という話

先日とある業者と打ち合わせをした際のこと。

現場にあらわれた業者が乗ってきた軽自動車を見て、思わず目が点になってしまった。

おそらく30年は乗っているであろうその車種は手入れもほどほどになんとか走っているような有り様。



一通りの打ち合わせを終えて、少し世間話をした際に、業者自ら現状を語りだしたのだ。

「ウチはなにせ忙しいからね。工期も余裕を持ってもらわないと対応できないよ」

その意味の一部はその後いただいた見積りにもあらわれていた。2週間後、催促してやっといただいた見積りの内容を見て驚いたのだ。



単純な作業の見積りに2週間を要していることにも驚きだが、金額が心配になるほど安かったのだ。あまりの安さに電話を入れて確認を取ったほど。

電話口では「ウチは安さが売りだから、その金額で大丈夫だよ」というが、素人目に見てもほとんど利益は取れていないと思われたのだ。



この金額で仕事がまともならさぞ忙しいだろう。だが、休みなく働いても利益は雀の涙では商売としては考える必要があるのだ。

お客様からいただく代価から諸々差し引いたのちに残る利益は、商売をする上で必要不可欠だからだ。その利益で生活もするし、会社の設備を整えるのだ。



末端の建設業者の中には、ここまでではなくとも、いわゆる“どんぶり勘定”は珍しくない。

恥ずかしい話だが、わたしが父から会社を引き継いだ当初、父にいくら利益が出ているかを問いただしたところ返ってきたセリフは「そんな細かいこと考えたことない」であった。



税理士や会計士のように事細かく理解する必要はないが、自身の商売でザックリでもどの程度利益が出ているかは把握するのが当然だ。

この業者に関しては「忙しい」という事実が「充実」や「何とかなる」という風に変換されているようにも思うのだが、仕入れ価格がタダに近いようでなければ高速で漕ぎ続ける自転車操業といえるような状況だろう。



「忙しい」状況はある種ありがたいとも思えるが、その内容を精査し、ちゃんと儲かっている状態にセットしなければ、体の疲弊とともにペダルを漕ぐ力は弱まり、やがて止まってしまう。

商売は内容重視。まやかしの充実感という現実逃避は避けた方がいい