
小さい会社の社長は自ら外に出よう
お客様とのご縁や成長のタネは現場にある。問題意識を抱えている社長自ら外に飛び出し、外の空気に触れることを重要視する、という話
悩んでいる経営者ほど会社にこもりがちである。
デスクの前でウンウン唸ったところで根本的な解決策など見つからないのにだ。ビジネス書などには経営者が現場に出ているようでは会社は成長しないという趣旨のことが書いてあるが、それは仕事ができるからといって現場作業に精を出してはいけない、という意味であり、経営に集中するという意味も含まれている。
経営に集中するという意味において、会社の統率や売上げに関するあれこれを「考える」という役割りは経営者にしかできない領域だ。
特に小さな会社においては経営者個人と会社はほぼ同義であることを意味し、責任はすべて経営者が負うことになるのだから他に同じレベルで問題意識を持つ人間などいるわけがない。
よって、基本的な経営に関わることを「考える」ということは人任せにはできないのである。
そしてその「考える」行為に必要な材料は外にあることがほとんだ。つまり現場や市場にヒントが転がっている為、会社のデスクで本を熟読したところで最終的なピントは合わないのである。にもかかわらず、外に出るのをめんどくさがり、大事な市場調査や現場でのヒント探しに出向くのを億劫とする経営者がいる。
そのくせ「どうしよう」と頭を抱えては時間を浪費してしまうのである。悩んでいるポーズは誰にでもできる。その姿を見て同情からお金を恵んでいただけるのなら苦労はしない。
もっとヒドイ人は悩んだポーズをした挙句、同じ様な人種とつるみ、憂さ晴らしと称して傷の舐め合いを夜の街で展開するのだ。現場に行くのは億劫でも夜の街に出かける際はなんとも軽いフットワークなのである。
解決策も見出す前から経費を使って経営者1人がストレス解消をしている場合ではない。その経費の出所は伸び悩んでいる会社の売上げから捻出されているのだ。その夜の経費が売り上げに直結しないようであれば、全くの無駄である。
特定の個人を非難しているのではなく、たまたま読んでいた業界紙に経営コンサルタントの一倉定氏の「穴熊社長」なる記事を読んで、過去に見聞きした経営者の話を色々と思い出したまでのこと。
接待交際費自体を否定しないが、悩んでいるならまずは外に見識を広げに行くべきだと思うのだ。現在は過去の集積からできている、今起こっている状態のヒントは必ず現場に落ちているものだ。
問題意識を持った経営者のアンテナだからこそ、それらのヒントをすくい上げることができる。同じポーズをとるのでも、その場でうずくまるより、ノープランで現場を駆けずり回る方が100倍浮上するチャンスに恵まれるだろう。
「穴熊社長」そんな存在にはなっていないだろうか。
何が起きているのか現場を自分の目で確かめる行為は「考える」ことに現実味をプラスする