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ひとつの事業にも最適値がある
市場や進めている戦略によって最適な事業のサイズが決まる。必ずしも大きくなることだけが正解ではない、という話
弊社の話だが、現在の構成は私一人とパートも含めたスタッフが数名というチームである。
この数年、売上げがゆるやかに右肩上がりに微増する状況とは反比例して人員を整えてきた。忙しい状況には新しい人材が必要という偏見と戦いながら人を増やすべきか、今の体制で工夫はできないかと思案してきた。
過去の自分も含めてあるひとつのものさしに縛られていたような気がする。「会社とは」という誰が決めたか世間的なイメージは、規模や年商は大きいほどよく、どの会社も大きく成長することがひとつの価値であり、指標となっていた。
売上げを上げ、人を増やし、さらに大きく成長させやがては上場する。これもひとつの成長の型ではあるが、どの会社、ひいてはどのビジネスモデルにおいても当てはまる型であるかは甚だ疑問である。
私自身が経営をしていくにあたり、色々な観点から自社の事業を考え直していた時期に行きついたのが、既存事業をどう今の時代に沿うようにカスタマイズしたところで限界がある、ということだ。
私以外の優れた経営者の方ならその限界すら突破して事業を大きくすることも可能かもしれないが、私が行きついたひとつの答えとして、事業(ビジネスモデル)にはその事業に最適な大きさがあるのかもしれない、ということだ。
そう勝手に腹落ちしてからは、目標に会社の規模の増大を外すことにした。あくまでも今の事業でより多くの顧客に価値提供できるには、という問いを念頭に置いたとき、会社の構造や組織の大きさに関係なく、それがその時点でのその事業に最適化されたベストな状態ということではないだろうか。
そして、より少ないコストで事業を回すことができればリスクは最小化され、それによってできた会社の余裕は再度顧客に還元されるという好循環が生まれると思うのだ。
世の中で評価されやすく、メディアなどにも取り上げられやすい事業としてスタートアップから急成長し、一気にスケールするという流れがカッコよく写るが、もう一方の世界観では、いかに目立たずスモールビジネスを粛々と確実に育てていくという事業のスタイルもあるのだ。どちらがいいか、というのは個人の価値観や感覚によって違うと思うが、自身の事業がどの型に当てはめると一番価値を生むかを考えると自ずとスタイルは変わるだろう。
スモールビジネスでもそこから派生ビジネスに転化したり、関連するビジネスを横展開していけばグループ会社の売上げはそこそこ大きくなることも十分に期待できる。要はひとつの事業で大きくすることに縛られず、価値を生む事業の最適値を把握して、それ以上の努力は検討するということだ。成長の天井を感じたら、そこから新たな事業のタネになるものはないか、過去の集積を研究すると見つかることも多いと思う。
商品同様、事業にも寿命や流行がある。コントロールできないことに一喜一憂するのではなく、その売上げを抽象化した概念に本質的なニーズが隠れている。その属性に対して何が価値を生むかということを考え抜いたときに事業の普遍的なニーズの輪郭が見えてくるのではないだろうか。
偉そうにつらつらと書いてきてしまったが、最近はこの様な心境に至った次第、自身の事業もどこが最適値かを見定めて、次のフェーズに進めたい所存だ。
事業の構想は大きくすることを前提にするより、その事業の最大価値はどこにあるのかという頂点の問いから逆算して組み立てる