【出世】振舞いって大事よねぇ、と思わされた話
今日から3日間、とある現場につきっきりとなる。
それだけわたしにとって大事な仕事内容であり、成果を出したい現場なのだ。
というのも、今回の依頼主とは初めての仕事となるのだが、実際には9年前から顔見知りという間柄。
9年前、当時父から商売を引き継いだばかりわたしは、社長業に戸惑い、そしてボロボロの会社の状況に翻弄されていた。
丁度その頃、とある地元の小さな建設会社から請けた仕事において、トラブルが発生するのである。その建設会社の担当者によるミスが発端となり、現場はめちゃくちゃ。
その状況をなんとかリカバリーするように、担当者は夜遅くまで現場に残り、少しでも次の日の作業がはかどるようにできる範囲の雑用をこなしていたのだ。
たまたま他の仕事で遅くなり、トラブっている現場の前を通った際に、担当者が投光器をつけ、なにやら働いている様子を目にしてしまった。わたしは車を停め、現場に入ると驚いた顔の担当者が言った。
「何してんですか!」
それはこちらのセリフと、訳を聞いて手伝うことにした。正直、このトラブルでウチの会社にも損害を被ったのだが、わたしは自分の辛い状況に重ね合わせて、なんだか放っておけない心境になってしまったのだ。
そんなほろ苦い経験の後、その建設会社は倒産し、担当者だった彼は独立した。今年挨拶に来社するまでは、どこでどうしているかも知る由もなかったが、独立後は苦労しながらも順調に仕事を増やしていったらしい。
例の一件で作業を手伝い、トラブルのさなかも気にかけてくれたことに恩義を感じて仕事を依頼してくれたのだ。
そして、彼にとっても今回の仕事は成果を出せば取引先の中で信用を勝ち得るチャンスということで、恩義に対してメンツをつぶすようなことはできないことからも、久しぶりに気合いが入ってしまっている。
うれしい反面、プレッシャーでもあるが、そうした以前の振る舞いから仕事をいただくとは何があるかわからないと改めて思ったのだ。
むかしに受けた恩というものは忘れないもの。わたしもいくつもの恩のために働いている節がある。そうした循環が続くといい仕事が増えるゆえ、この先も調子に乗らず振る舞いは気を付けていこう。