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蓄積されたデータの先に見えるもの

数年スパンで蓄積されたデータによってはじめて見える動向がある。売上げの推移にはそれぞれの根拠が隠れている、という話

来期から導入するシステムの打ち合わせから、現状把握できる資料を整理しとくようにということで、顧客別の簡単なリストを作成している。

既存顧客のタイプや年間の売上げ、支払いサイトの期間などを吟味して優先度を割り出していくのだが、これがなかなか面白い。

あらためて、俯瞰して見るとその顧客の特性が際立って見えてくるのだが、自分で思っているイメージとその顧客のポテンシャルが必ずしも一致するとはかぎらない。過去のデータなどを引っ張り出してくると、数年前までは勢いのあった顧客が今ではしぼんでしまっていたり、起業直後からお付き合いを始めた顧客が売り上げを伸ばしていたり、顕著なのが5年程度さかのぼった売上表の顧客リストの名前がガラリと変わってしまっていることだ。

5年という時間の流れの中で、弊社との相性がずれてしまったり、単純に価格間の相違から離れてしまったり、それとは逆に弊社の新しい取り組みに合致した顧客が上位に上がってきたりと眺めているだけで未だ固まりかけではあるが、大きな方向性が見えてくるのだ。

そしてその大きな方向性を今後の攻めに活用するべく、これからの実績をデータとして蓄積していくのだが、このデータが活かされるであろう5年後あたりには、より明確な戦略図が描けているだろう。

どこに効果的にアプローチするか、それを再現性をもって進めていくにはやはりデータが必要だ。なんとなくで実行していくと当たる確率がどうしても不安定になってしまう。最終的には市場に投げてみなくてはわからない部分が大きいが、どのセグメントに投げるか、その中でもどんな顧客にヒットするようにしたいか、という点を明確にしなければ当たるものも当たらない。

狩りに出るのにイノシシが欲しいのか、魚が欲しいのかによって行き先が変わるように、まずは市場を確定しなければならない。その行く先でも何をどれだけ採るのかによって道具が変わる。それらを場当たり的に感覚で推し進めてしまうと、食える日と食えない日ができてしまうのだ。

始めは手当たり次第に狩りまくることで自社の特性が見えてくる。得意分野の選定や、市場との相性が浮き彫りになったところでそのカテゴリーをブラッシュアップしていく、ということだと思うが、そのカテゴリーをより細分化して長期スパンに落とし込んでいくことで食えない日を最小にするのがこのデータの蓄積の効用だ。

運用することで食えない日どころか、備蓄するほど大量の捕獲という可能性も出てくるだろう。一通りそのカテゴリーの収穫までのストーリーが構築できたなら、そのストーリーにどうしたら再現性を持たせることができるか、というフェーズに移行していく。そのフェーズまでたどり着いたらあとは数を増やすか、広げるかでさらに拡大させる。そうしたコピーできるまでのロジックやプロセスこそが財産になる。

言うは易く行うは難し、言語化ができても実行に移しやりきるのはかなりハードだ。しかしながら超えられる山があるのはありがたいことだ。地道で険しい山道になるが、着実に歩みを進めたい。

俯瞰できるまで蓄積されてはじめてデータが活かされる。そのデータは自社の財産になることは間違いない。

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