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会社の信用か、個人の信用か取引きに値する方を見極める

取引きにおいて重要視する「信用」。それがどこから来ているものなのか見極めるのも必要、という話

1本の電話をいただいた。

関東に支店が数ヶ所ある中規模のビル、マンションの管理会社の担当者からだったのだが、内容は7月をもって退社するとのことでご挨拶をいただいたのだ。

今後は独立して同じような業種を継続するとのことでその際はよろしく、とのことだった。

単純に取引先が派生して増えた、ということではない。この方に関しては人間性的にも信用のおける方なので、依頼があった際には相談にのろうと思えるのだが、今まで様々な経緯で会社を去り、独立または別の会社に再就職して取引きの相談を持ち掛けていただく機会は多かった。

その際に顕著に現れるのは今まで自社がその取引先のどこに「信用」をおいていたかという点である。会社の規模や社風、取引きの実績などの会社としての看板に信用をおいていたのなら、独立した新会社や再雇用された会社に関しては信用がリセットされると考えるのだ。

その信用の矛先が退職する個人であったならば、人間性や性格、商売への姿勢や考え方を考慮して今後のお付き合いを検討するのである。

私が会社を引き継ぐ以前に、何社かの会社に莫大な売掛金を踏み倒されたり、支払わず夜逃げされたりした経験がある。先代の父の認識の甘さが根本的な原因ではあるが、その不誠実な会社のすべてが独立、再雇用で派生した新規の取引先であった。

たまたまという風にも考えられなくはないが、既存の取引先から派生するということは単純に取引先が増えたと喜んで受け入れてはいけない。しっかりと吟味し、新しく取引きするのに値する会社か事前に判断しないと簡単に痛い目に合うのは今までの経験値から得た教訓のひとつである。

今回ご挨拶をいただいた方は独立されるとのことだが、この独立というかたちも今までのような推移で事業を継続できるとはかぎらない。ご挨拶いただいた方には是非奮闘していただきたいものだが、前職の会社の看板があって受注できていた仕事を個人の力と勘違いして独立してしまうとたちまち立ち行かなくなるケースは非常に多い。

はじめのうちは独立したお祝いにと、前職のつながりからおこぼれ的な仕事を振ってもらえることもあるだろうが、そこはビジネスの世界、結果が伴わなければ簡単には広がってはいかないのだ。

これまでに営業力を武器に独立された方を多く見てきた。初年度こそチラホラ仕事の依頼があったが、その大半はフェードアウトして今ではどこで何をしているのやらわからない会社は数えきれない。それだけどこの業界も生き残るには突出した競争力やセンスが必要になってくるのだ。

再就職の道を選んだ方に対しても、その方のそもそもの人間性が前提となり信用が付加されるので、リセットしたタイミングでこちらから関係を解消するなんてことも往々にしてある。

どちらの道を選ぶにしても、一朝一夕では積み上がらない「信用」を人は見ている。当たり前にお金が絡むビジネスの世界だからこそシビアな視点が向けられる。

しかしながらそんなシビアな世界に挑戦する今回ご挨拶いただいた方に関しては独立がいい方向に伸びることを願ってやまないのもまた事実である。

ビジネスにおいての信用とはお金という価値のやり取りを誠実に行えるか、というところにある

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