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有形商材の営業と無形商材の営業:「転職」では本当に無形の勝ちなの?

【無形商材の営業マン】

営業職で扱われる商材は、大きく分けて「有形商材」と「無形商材」の2つです。
家電や日用品など、目に見え、手で触れるものが「有形商材」、広告や金融商品など、概念としての価値を持つのが「無形商材」です。
僕はかつての営業マン時代、「スポーツイベント」を売っていたので、無形商材の営業マンだったと言えます。
今はキャリアデザインスクール我究館の館長として「教育」を売っているので、ある意味ずっと無形商材の営業マンですね。

営業マンとして実績を積んでいくには、様々なスキルが必要になりますが、とりわけ「無形商材」の営業は、個人のスキルが重要となる難しい仕事と言われています。
営業先に物を売り込む「有形商材」の営業に対して、イメージや考え方を売り込まなければならない「無形商材」の営業は、その商材の魅力を言語化し、高度な表現でアピールして、顧客に具体的な価値を感じさせなくてはなりません。
なので、「無形商材」営業は、営業マン個人の言語化スキルや提案力がものすごく試される仕事とも言えるのです。

【無形商材の営業経験が転職に強いと言われる理由】

1)形のないものを売るための提案力がある人が多いから
「無形商材」の営業実績を積むためには、顧客に対して「この商材は信頼できる」「まさに、今自分達が欲しかったものだ」と納得させるためのプレゼンスキルが要です。
一般に、「有形商材」の営業では、商品の開発段階で、その商品が素晴らしいかどうかが決まると言われており、大手メーカーや信頼されている工場で作られた商材は、それそのものがプレゼン能力を持っているようなものなので、営業マンのスキルが問われにくいと言われています。
2)顧客との関係性を大事にする人が多いから
また、「無形商材」を上手く売り込むためには、顧客のニーズを正確に理解し、心に刺さる提案を行う必要があります。
スポーツイベントでも、教育でも、「無形商材」は目に見えて価値が分からないものであることが多いので、商材の本質的な姿を言語化し、時には視覚的なイメージに落とし込んで、顧客にその価値を理解してもらうために、「顧客」について深く理解しなくてはなりません。
また、「無形商材」の場合、時間をかけて継続的にサービスを提供することも多いので、販売契約が成立した後のフォローアップが必要となり、最近では「カスタマーサクセス」と呼ばれるような、営業とは分離された、その商品を上手く活用していただくための部署も登場してきています。
「無形商材」の営業として成功するためには、顧客との信頼関係を築き、その良い関係を維持していくスキルが必要なので、有形商材の営業マンよりも高い能力を持っていると思われることが多いのです。

【本当に無形が強いのか?】

確かに、「有形商材」の中には、もう既にその価値が保証されているものが多く、顧客も「この会社の商品は良い」という前提で、営業の現場に来ることがしばしばあります。
車や家電、衣類など、開発や製造段階で他社との差別化がしっかり練られており、顧客に比較軸を提案しやすいとも言えるでしょう。
でも、全ての無形商材がそうとは限りません。
例えば、建材を売るメーカーの中には、顧客ニーズのヒアリングに基づく情報から、受注後にカスタマイズするような売り方をしているところもあります。
この場合は、顧客との深い関係性を築いた上で、正確にニーズを聞き取り、解決策を提案するスキルがいるので、営業マンには「無形商材」の営業の時のような提案力が必要になります。
このような業種だと、納品までは「無形商材」、納品からは「有形商材」を売っているような感覚ですよね。

考え方を広げてみましょう。
例えば「テレビ」を売るとき。
顧客は本当にその性能や他社のテレビとの違いだけで購買行動に移るのでしょうか。
テレビをリビングに置いた時の全体感、壊れた時の対処方法、引越しの時の梱包の仕方など、顧客のニーズはテレビの姿かたち以外のところにも及ぶことが多く、それら「無形」のものについても、より良い提案をするように努力している営業マンも多いと思います。

納品までは「無形」、納品からは「有形」

これは実は、有形商材を売るサービス全体に言えることのようにも思います。
だから、「無形が強い」と思っている採用担当者にも、これを言ってみましょう。
全ての営業マンは、そのサービスを手に取り、利用した際の「感動」という「無形商材」を売っているのではないでしょうか。

【普通のことでも、考え方次第で魅力的になる】
今回のように一般論を少し掘り下げて考えてみると、一般的に言われていることが、正しくないこともよくあります。
物事を本質的に考える力を養っていくことは、こういう点においてもとても大事ですよね!


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