連載企画ー夢ゼミ探究の旅ー【第四章】奥田麻依子さん
隠岐國学習センターnoteの連載企画―夢ゼミ探究の旅―。
今回この連載を始めるきっかけとなったのは、現在夢ゼミの責任者を担当している澤正輝さんの「夢ゼミともう一度出会い直したい」という思いから。連載が始まった詳しい経緯や担当者の思いなどはこちらのnoteをぜひお読みください。
第四回のゲストは、奥田麻依子さん。
それでは、夢ゼミの責任者である澤正輝さんと、講師の奥田さんの対談をお届けします。
夢ゼミがきっかけで海士町に移住
澤:奥田さんは2012年の4月に海士町に移住してきて、2018年まで高校のコーディネーターをしている中で学習センターとは接点がありましたよね。そもそも、夢ゼミと出会ったきっかけはなんだったんですか?
奥田:夢ゼミとの出会いは、海士町に移住する前に学習センターを訪れたときです。当時の高校3年生が2年生の子たちに夢ゼミでアドバイスする姿を見て、どうやったらこんな子たちが育つんだろう、素敵だなと思ってそれが移住する一つのきっかけにもなりました。
澤:島前を離れて、2年くらい経ちますよね。今回、講師としてWell-beingをテーマに夢ゼミをやることになった経緯を教えて下さい。
奥田:高校のコーディネーターをしていた時から、学習センターの自由さや、歴代の担当者の色が出せることが羨ましく思っていました。それもありますし、現在は地域・教育魅力化プラットフォームや県教育委員会で働いていて、子どもと関わる機会が減り、接点を求めていたというのもあります。色んな対象と関わっていく中で、やはり高校生は面白いなと思い、そういう場が持てるといいなと。
また、ブータンとのPBL*のプロジェクトにも関わっていて、持続可能な幸せをつくれる学びを探究する中で、どんなことを身に付けていけば自分で幸せをつくっていけるんだろうと思っていました。それを高校生と探究したら面白いじゃんと思って、Well-beingをテーマにした夢ゼミをすることにしたんです。
*PBLー課題解決型学習(Project Based Learning)
学び×幸せを探究する原点は、自分が感じた”違和感”
澤:夢ゼミのガイダンスの時にも、学びと幸せをセットで考えてみたいという話をしていましたが、どうやって幸せやWell-beingというテーマにたどり着いていったのかなというのをあらためて聞きたいです。
奥田:それでいうと、卒業生と話す中で、頑張っていない自分には価値がないと思っている子たちがいると聞いて、これまでつくってきた学びは本当にその人を幸せにしているのかなという違和感を持ちました。私は、頑張りたいときに頑張れないときってあるし、そういうのを受け入れられる感じがいいよなと思っていました。それを探究したいと思って、一度島根を出て新しい学校づくりに関わったりもしました。
澤:生徒のその後の姿を見ながら、島前の学びって何のためにあるんだろう、本当に幸せに繋がっているんだろうかという違和感やモヤモヤを、違う形で探究をしているという感じなんですかね。
生徒と一緒に創り上げていく場
澤:奥田さんのゼミに、一参加者として関わらせてもらう中で、ファシリテーターではあるけど、参加者の視点をちゃんと持っているところや、手放しで学び手に場所を委ねているわけでもなく、自分の行きたい方向に無理矢理進めていくわけでもなく、一緒に場をつくっている感じがすごいなと思っています。
奥田:”お誘いしている”感じに近いのかもしれません。「私これ面白いんだと思うけど、どう?」というように、生徒をお誘いしている感じです。前回の夢ゼミでは、時間割を生徒と一緒に組ました。6つの候補を提示して、それを自由に生徒に組み立ててもらって、それぞれ考えた時間割をお互いに見せ合って話し合いながら決めていきました。
澤:最終的には自分たちでゼロから時間割を作っていけるのがゴールではあるけど、その過程において滑らかに自分たちで作っていけるような選択肢をいくつか示しつつ、それを並べ替えたりお互いに見合ったりしながら組み立てていく。その時間がすごく豊かだったし、それを通してお互いが大切にしたい価値観や心地良さが発見され、共有されていったなという感じがすごくありました。
学習センターでも、少人数のホームグループというのを今作ろうとしていて、その時にカードでいくつか選択肢を示して、こういう組み合わせでやってみようというのを一緒にデザインできると深まりがありそうだなという感じもしました。
奥田:無理しない感じがすごくいいんですよね。それぞれのペースの重なり合いがある感じの、いい意味での身の丈に合っている感じが心地良いです。
それぞれの幸せの物差しを見つけてほしい
澤:この夢ゼミの最終回にキャンドルナイトをやるそうですが、こんな場になっていったらいいなというのはありますか?
奥田:自分の幸せの物差しができているのがゴールだなと思ってます。そこから広がりがあるといいなと思っていたけど、広がりは無理に求めても広がらないので、じわじわいけたらいいなと思ってます。その物差しを何かしらで表現できたらいいなとも思っていて、それはどこかで実現できたらいいです。
澤:最後に、夢ゼミはどんな場であってほしいですか?
奥田:夢ゼミに限らず、プロセスは何でもいいんですけど、自分で学びをつくっていける感覚と、自分が社会をつくっていける感覚を持てる場ですね。参加する人も、講師としての私も、ともにそういう感覚を持ちながら一緒につくっていく場であってほしいです。