科学でアートを解き明かせるか?これからを生きる私たちに必要な直感力について
将棋ではコンピューターがプロ棋士を破り、AIが自動生成するイラストはイラストレーターの絵と遜色がなくなってきた、そんな世界に生きる私たちは、気づかぬうちに自分自身よりもコンピューターの判断を優先するようになっているかもしれません。
私の専門である美術研究の分野で考えてみました。
美術研究と言えば、作品をじっくりと観察するとともに、多くの文献資料を読み解いて行うのが常でした(というか、今も基本はそうです)。
ただし、そこに科学技術による分析が導入されるようになると、それまでの定説がひっくり返ることもしばしば。
私のような文系出身の人間は、とかく科学の力に弱いと自覚しています。数値データで示されると、もはやそれが動かしがたい真実だと思ってしまう傾向があるんですよね。
でも、「科学的=正しい」と安直に考えていると痛い目に会うぞ、と教えられた例があります。多くの美術史研究者が科学に振り回された反省事例とでも言いましょうか。
今回はそんなお話を。
国宝《紅白梅図屏風》の金地騒動
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