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限定記事パック2025

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2025年に配信する限定記事がすべて読めるお得版です。
2025年中にあと何本有料記事を書くか分かりませんが、現時点(2月半ば)ですでに有料記事を個別に購…
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記事一覧

学芸員の気持ちが切れる時

ネガティブな投稿は、ネガティブなものを引き寄せるので極力しないようにしているのですが、少しは陰の要素もあった方が深みが出るかと思い、今回は学芸員が働いていて「気持ちが切れる時」、つまりその美術館で働く気力が失われる時、という話をしようと思います。 私が、というよりは、周りをみていて感じてきたことです。 大前提として、学芸員は仕事が好きです(もちろん全員が全員ではないですが)。好きなことを仕事にしているから当たり前と言えば当たり前ですね。 だから、激務だから気力が失せる、み

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美術館を出た後、あなたは世界が違って見える

単体でも読めますが、先日の記事から何となく続いています。 「美術館とマインドフルネス」という観点からもう少し踏み込んだ話をするならば、美術館に並ぶ作品の数々、特に近現代のアートは、マインドフルネスの産物そのものだと言えます。 精神科医であり日本有数の美術コレクターでもある高橋龍太郎は と語っています。 では、マインドフルネスがアーティストに気づきをもたらすとはどういうことか考えてみましょう。 美術館で作品鑑賞をした後、単に心がスッキリするだけでなく、心なしか世界が違

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フォースプレイスとしての美術館という可能性

こちら↓からの続きです。 「美術館はサードプレイスになり得るか」と考えてみましたが、そもそもサードプレイスとは家族や仕事仲間とは違う人間関係を育む場所と定義されているから、基本的に他者との交流が生まれない美術館はサードプレイスにはなりづらいという話を前回しましたね。 それでも私は、やっぱり美術館には家庭でもない職場でもないもう1つの場所として重要な役割があると考えています。 サードプレイスではないもう1つの場所という意味で、ここでは仮に「フォースプレイス(4th Pla

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美術館時間ゆっくり現象について考える

仕事や学校に通う日々を過ごす中で、なんだか心が落ち着かない、もっと言えば心のどこかで常に切迫感のようなものを感じている人は多いでしょう。 「タイパ」という言葉が一般的に使われるようになり、「リスキリング」という言葉を様々なメディアで目にするようになり、気づかぬ内に私たちは、効率を意識して何かの努力を続けなければいけないという義務感を刷り込まれています。 特にタイパ意識の刷り込みは顕著です。 今の時代、何よりも貴重なのが時間です。誰もが平等に持つ有限の時間は、今や分刻み秒刻

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「美術を語れる人」になるためには

美術を語れるようになりたいと思っている人は案外少なくないようです。 でも、そもそも「美術について語れる」とはどういうことでしょうか。 これは私の見解ですが、自分の目で見た作品の魅力を、借り物ではない自分の言葉で人に伝えられる、ということです。 しかしこれが、いざやろうとすると案外難しい。 ■学芸員が美術を語れる理由私たち学芸員は言ってしまえばそれが仕事なので、日々美術作品に関する文章をバリバリ書いています。 でも、当然初めからそれができたわけではありません。 自分でも

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メモの魔力(美術館にて)

私は『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』(産業編集センター)でも、メモを取りながら鑑賞することをおすすめしたのですが、その時は「一歩進んだ鑑賞体験をするためにはメモを取るのもいいですよ」という具合に説明をしました。つまり中上級者向けの鑑賞方法と自分でも位置づけていたのです。 でも今は考えが変わり、初心者でも、いや初心者だからこそメモを取りながら鑑賞してほしいと思っています。 まず1つ注意してほしいのですが、メモを取ると言っても作品の横にあるキャプションの解説文をがん

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展覧会はいい加減に見るべし

美術館での鑑賞方法について語ります。 鑑賞方法に決まりなんて無いので、人それぞれ好きなように鑑賞すればいいのですが、真面目な人ほど肩に力が入っているせいで途中で疲れてしまったり、消化不良に終わったりすることがあるので、学芸員として少しだけ鑑賞のアドバイスをさせてください。 まずは肩の力を抜いて、気持ちをゆるめましょう。美術館を楽しむ秘訣、それはずばり「いい加減に見る」ことにあります。 海外に比べて日本では、美術館がお堅い場所であるというイメージが強い傾向にあります。 そ

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どこまで対応する?美術館の多言語化

インバウンドを念頭に置いた時に避けては通れないのが、多言語対応です。 美術館の受付でチケットを販売するぐらいは何とかなるにしても、展示室内の解説をすべて外国語に翻訳するとなるとそう簡単にはいきません。

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