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キムヤンとカワチン

劇場公開中の映画『まる』を監督した荻上から連絡が。アニメ映画『ルックバック』を観て、「キムヤンとカワチン(=カワグチ少年時代のあだ名)を思い出したよ」と。

キムヤンは、僕の大親友。小学校3年生からずっと一緒にマンガを描いていました。僕は手塚治虫先生推し。キムヤンは赤塚不二夫先生推し。だから奪い合いや取り合いもない。ケンカもしない。お互いを尊重しあえる良きライバル&大親友。

原稿用紙とペンをお茶の水まで買いにいったり、神保町古書店をめぐったり。一緒に大手出版社に持ち込みにも行きました。

キムヤンは小学館新人賞を10代で受賞しました。その頃の僕は手塚先生が旅立ってしまって、目標を見失いボーッとしていた時でした。キムヤンが「ウチでマンガ読もうよ」と誘ってくれて。チューダーを呑みながらマンガを読んだら元気になったっけ。手塚先生のお通夜へ一緒に行きました。

その後キムヤンは、週刊少年誌連載をしたのですが長く続かなかったようです。今度は僕がキムヤンを誘う番です。荻上も誘ってよく3人で駅前の居酒屋であーでもない、こーでもないと語っていました。

やがて僕は進学して就職が決まったのですが、すごく後ろめたい気持ちになったのを覚えています。2人の覚悟が本物だったからです。

荻上「映画監督になることを決めたんだ。自主製作映画になったとしても一生撮り続けるよ」

キムヤン「マンガを描きつづけるよ」


荻上は、映画監督として大スターになっていきます。ところが、キムヤンはなかなかヒット作に恵まれませんでした。

およそ10数年前からキムヤンとは連絡が取れなくなりました。実家を出て、結婚したことを風の便りで知りました。

しばらくしてキムヤン母が「ある編集者に『艶っぽい』のを描いてくれと言われてから調子をキープ出来なくなったようなのよ」と話してくれました。それを聞いて愕然としました。赤塚先生の大ファンだったのだからギャグマンガを描きたいはずなのに…。

かれこれ20年以上会っていないけれど。キムヤン、どうしてるかな。また3人で呑みたいな。


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