小説「From 巌流島」
こんにちは佐々木小次郎です。
え~私はですね、剣豪です。かつては名のある剣豪でした。
剣豪、やらせて頂いておりました。
身の丈ほどもある長刀「備前長船長光」通称、物干し竿を愛刀としておりまして、得意技は斬り下ろした刃を瞬時に返して斬り上げる「燕返し」という技です。
出世意欲の強い美剣士、と皆さんは認識されているんじゃないでしょうか?実際は、こんな感じです。
あ、拍手、ありがとうございます。
本日は私が剣豪をしていた頃のお話をね、まずさせて頂ければなと。
忘れもしませんあの日、巌流島にてライバルの宮本武蔵をケチョンケチョンにぶっ倒してやろうと、あ、スミマセン正確に言うとぶっ殺してやろうと思って待っていたのですが、武蔵全然来なくて……あいつホント時間にルーズなんで、迷ったのかな? とか思っていたのです。
そんな感じでやきもきする事小1時間。
潮の香りと肌に当たる海風にいい加減嫌気がさしてきた頃、やっと遠く、砂浜の向こうに人影が見えてきました。
「武蔵おっせーよ!どんだけ待たせんだよ。……ん?」
武蔵に話しているつもりでしたが、やって来たのは全く別の人物でした。
来たのは金髪でダイナマイトボディーのアメリカ人女性で……初めは武蔵の新しい女かとも思いましたが、どうやらそうではなさそうでした。
「え、誰?」
「テキサス州のイザベラね」
「……え、え、誰? イザベラ?」
「Yeah」
「武蔵は?」
「ラーメン屋? あんま好きな味じゃないね。なんで行列してるのかちょっとわかんないね。イザベラ、ギトギト、嫌い」
「違うって。人、人なの。俺の対戦相手の武蔵は、」
「K-1の唇の分厚い?」
「二刀流の武蔵だよ、」
「アァハン♪」
「なんだよ」
「ニトゥーリュー♡」
「……二刀流っていうのは男も女もイケるって二刀流じゃなくて、刀を二本使うっていう二刀流なの」
「眠い」
「自由だな外国人」
「これからあなたは、私からダ〇ソンの掃除機を買うOK?」
「全然オッケーじゃねぇよ。もういいよ、どっか行ってくれ」
「行けないね……」
「え?」
「……ここ巌流島はK-1で安い賃金で働かされたラウンドガールたちが、最後に流れ着いてくる場所。終着点。だから私に、もう、行き場所なんかないね……」
「悲しい話だなオイ」
「ここで私が生きていくには、〇イソンを売り続けないといけないね……。そう、元締めからキツク言われているのね……」
「……」
情に流され思わず買ってしまった〇イソンを小脇に挟みつつ、私は島を歩きました、イザベラも気づけば他の男にセールスを開始しておりました。タフな女性です。
潮風と、4万を失ってしまった財布は、わが身に堪えました……。
7時間後、武蔵に会う事なく船に乗り込むと、私は巌流島を後にしました。
武蔵、結局来なかったのです。
それからというもの誰かと戦う事もめっきり減り、剣豪もなんやかんやで辞めました。あの時、ダイソ〇を購入してしまった時点で、私はもう、剣豪ではなかったのだと思います。
そして今ではこうして、あの時イザベラから購入したダイ〇ンと同型の掃除機を手に、私はベガス小次郎と名を変えて毎週末デパートを回らせて頂いているという訳です。
ああ、おばあちゃまご声援有難うございます。
今日ご紹介するのは、私を剣豪から足を洗わせてくれた万能掃除機、備前長船長光にも勝るとも劣らないダイソ〇コードレスクリーナー、しかとご覧あれ!!
奥様方、拍手有難うございます。
これは非常に使い勝手が良くて、とってもお勧めできる商品なんですよ。
あ、そこの御婦人、興味を持って頂けましたか?
というわけで本日新宿高島屋デパートさんでご紹介する吸引力が変わらないただ1つの掃除機、コードレスクリーナー・DC62です。お値段はなんとお求めやすい40,000円。
ベガス小次郎イチオシのこの商品是非お求めになって下さい。
🈡
老若男女問わず笑顔で楽しむ事が出来る惨劇をモットーに、短編小説を書いています。