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休職中の方に、復職の産業医面談をパスする方法を教えます。

休職中の方に復職の産業医面談をパス(通過)する方法を教えます

休職中の方で、主治医から復職可の診断書をもらい、会社から産業医面談を受けるように指示される方も多いのではないかと思います。

そんな方向けに、どうやって産業医面談をパス(通過)するか、ということをこのnoteに書きたいと思います。

どうなったら復職できる?

解説

端的に言えば、「自信を持って『元気です!』と言えるのかどうか」です。

 体調が悪いと思いながら復職したら、復職してもまた体調を悪くして、再休職になってしまう可能性が高くなります。

 だからこそ、自分自身が自信をもって体調が回復した状態になることがとても重要なのです。そして、そのためには自分自身の健康状態を正確に把握することが重要です。自分の体が発するサインに耳を傾けてください。まだ十分に体調が戻っていない状態、まだ不調のサインがあると思うのであれば復職は早いと言えるでしょう。例えば代表的には以下のようなサインです。

・食欲がない
・眠れていない
・生活のリズムが整ってない(昼寝をしてしまう)
・安全に通勤できない(運転や電車に乗れない)
・復職後のことを考えると気分が沈む

不調のサイン

あなたの体調と健康は、あなた自身が最もよく知っているはずです。
自分の体をサインに耳を傾け、無理をせず、復職を目指しましょう。


面談では何を聞かれるの?

解説

職場復帰の面談で産業医に何を聞かれるか心配になっている方も多いのではないでしょうか。しかし、私たち産業医が面談場面で尋ねるのは、端的に言えば、『普通に働けそうですか?』ということです。

 とはいっても、さすがにその一つの質問だけでは、「復職後に普通に働けるかどうか」は評価できませんので、もう少し具体的に聞きます。

 「普通に働ける」とは、あなたが以前健康な状態だった時と同じように、フルタイムでの労働が可能かどうか、毎日通勤し、1日8時間、週に5日間働き、通常の職務をこなせるかどうか、になります。さらに、「普通の職務」というのは、以前と同様のパフォーマンスを発揮できるか、職場の同僚たちと同じくらいのパフォーマンスで働けるかどうかということになります(個人差はもちろんあります)。

 なお、これらは厚生労働省から出された「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に以下のように示されています。一般的には、復職面談のような場面では、産業医はこの手引きを参照しているはずですので、これらに照らし合わせて尋ねます。自分が「普通に働けるかどうか」を以下の判断基準に沿って考えてください。いずれの項目も十分に満たせていれば「普通に働く」ことが達成できると判断されるはずです。

<判断基準の例>
・労働者が十分な意欲を示している 
・通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる
・決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である
・業務に必要な作業ができる
・作業による疲労が翌日までに十分回復する
・適切な睡眠覚醒リズムが整っている昼間に眠気がない
・業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している など

厚生労働省.心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

面談でウソをついてもよい?

解説

「面談の回答でウソをついていいのか」という質問をよく受けます。復職に際して、自分自身の状態について自分自身が正直であることが何よりも重要だと思います。表面的には、復職面談でのウソが短期的な成功をもたらすかもしれませんが、それが長期的な成功をもたらすかどうかは分かりませんよね。復職はゴールではなく、一つのスタートラインに過ぎません。本当のゴールは、復職後も長期にわたり健康を維持しながら働き続けることだと思います。

 仮に不誠実な情報を提供して復職できたとしても、復職後にやはり健康状態が再び悪化すれば、最終的には自分自身がその代償を支払うことになります。健康状態がまだ十分に回復していないことを隠して職場に復帰した結果、同僚や組織に迷惑をかけたり、業務の質が低下したりする可能性もあります。これはあなたの職場での信頼を失うことにもなりかねません。さらに、仕事のパフォーマンスが低下すれば、自己評価にも打撃を与え、自信の喪失につながる可能性があります。そして、再休職になる可能性もあるでしょう。

 復職時の回答は、自分に対しても誠実であって欲しいですし、復職後に一緒に働く上司や同僚、人事担当者ひいては会社に対しても誠実であっても欲しいと願っております。そして、そのことは、復職するあたな自身にとって、復職後にどのような結果になったとしても、納得のいく結果になるのではないかと思います。自分の今の真の状態を今一度見つめてください。

最後に

休職中の方に復職の産業医面談をパス(通過)する方法はとてもシンプルなものです。それは、「普通通りに働ける状態である」ということです。しかし、それはその人自身にしか分からないことだからこそ、その人自身が自信を持って大丈夫です、と言えるかどうかなのです。

 復職がゴールではありません、復職後に長く元気に働くためには、自身の現在の能力と回復の状態を正直に評価し、それに基づいた決断をすることが最も賢明な選択だと思います。

休職中の方向けに参考になる資料

休職者に向けた冊子「休職中に活用できる社会保障制度を理解しよう」
https://utsu-rework.org/cms/wp-content/themes/the-thor-child/img/pdf/ss.pdf

新職場復帰準備性評価シート
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2008/083131/200833055A/200833055A0007.pdf


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