
その個人支援は職場を支援しているのか
はじめに
個人支援に偏り過ぎていませんか?
多くの産業保健職教育に関わってきた中で、個別事例の相談を受ける際、個人支援に寄り過ぎている産業保健職が非常に多いように思わされます。
そもそも、支援とは、困っている・弱っている「個人」が対象であるという考えに多くの産業保健職が固執しているように思うのです。その背景には、臨床経験や学部教育で、個人支援(個人に寄り添うこと)を習ってきたからなのだと個人的には推測していますし、これも「臨床マインド」の一つだと捉えています。
産業保健(広く言えば公衆衛生)とは、職場や組織、企業という集団を相手にする活動です。常に、私たちの活動は集団の視点が必要であり、その集団のダイナミズムを意識することが求められます。
そこで今回は、「個人支援」と「集団・組織支援」のバランスをどう考えたらいいかについて、考察していきます。
補足)組織のダイナミズム
組織が環境の変化や内部の要因に応じて柔軟に適応し、発展し続ける力や性質を指します。組織の動的特性。
ここから先は
4,711字
この記事のみ
¥
1,000
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?