社会に出て役に立つ勉強という罠
昨年来の異常な状態にもかかわらず、今年も受験シーズンがやってきた。
狭い教室にたくさんの学生を一日中詰め込むことに、教育関係者は何も感じていないようだ。
下の2枚の写真を比較してほしい。
形の上だけやっているのが歴然だ。
私も夜遅くまで受験勉強をした。
「受験がなかったら、こんなつまらない勉強などしない」と愚痴を言いながら。
受験勉強を思い出していると、悪名高い匿名掲示板創設者で世論誘導の専門家が胡散臭い話をしていた。
「全く使わない人が多数」であることを理由に、話を進めようとしている。そこがまずおかしい。
ひろゆきという人は、多数=正論がいつも成立するとは限らないのを、よくわかっている。
というのは、彼は多数という名の数の暴力で、特定の個人の名誉やプライバシーを、掲示板で侵害することを日本人に仕向けた張本人だからだ。
例えば、2004年に発生したイラク日本人人質事件がある。
被害者3人に、自己責任という忌まわしい単語を使った凄まじいバッシングの嵐が掲示板で行われた。
彼には、ネット世論を偏った方向に誘導、放置してきた数々の前科がある。ちなみに、ひろゆきという人は掲示板への誹謗中傷の書き込みに関わる名誉毀損訴訟を、日本各地で50件以上起こされている。
だが、そのほとんどに一度も出廷せず、敗訴判決が確定。
30億円もの賠償金を請求されたが、踏み倒している大したお方だ。
さらに、彼の指摘にある、試験以降使わないという観点を突き詰めていけば、学校での勉強はいらないという結論になってしまう。
日本史や世界史の細かい歴史用語や英語の瑣末な構文暗記など必要ない。
理系だって、物理のドップラー効果や化学の有機化合物の暗記は、全く不要だ。
結局のところ、「社会に出て役に立たない学校の勉強はいらない」という結論に、ひろゆきという人は誘導したいのだろう。
少し、ここで考えて欲しい。
社会に出て役に立つ勉強とは、具体的に何を示しているのか。
彼の頭に真っ先に浮かんだのは、「お金の貯め方」だった。
「宗教」は、インチキ宗教の教祖のなり方を勉強すれば、たんまりお布施がもらえる。
「PCスキル」も、マスターすればSEO対策でひと儲けできる。
全部金の話だ。
その他、社会に出て役に立つことと言えば、エライ人に忖度して出世する技術やライバルを論破するテクニックを勉強することを、彼は考えているのだろう。
簡単に言えば、学校では金儲けや出世に直接役に立つことだけを教えろ、という話だ。
「サラリーマンの生涯賃金くらい」の年収を稼いだと豪語。
パリで優雅な毎日を、現在過ごしている彼らしい実に素晴らしい主張だ。
参考として、西鋭夫氏の言葉をここで引用する。
拝金教信者の日本人を的確に評している。
『國破れてマッカーサー』より。
西氏が言うように、戦後日本は、金儲け至上主義で現在まで一貫して歩んできた。
結果として、日本人に待っていたのは、社会的公正や公平が全くなく、基盤が底抜けした不平等社会だった。
中抜きビジネスが横行して、タワーマンションに住めるのは、ごくごく一部の富裕層のみ。
大半は日々の生活がやっという状態だ。
立ち止まれば負け、24時間戦います、とばかりに働き虫になっても、暮らしは一向に楽にならない。
70歳を過ぎているであろうおばあちゃんがコンビニのレジに立っている風景も珍しいものではなくなった。
ひろゆきという人と仲良しの竹中平蔵は、それも個人の勉強や努力不足によるものだといまだにうそぶいている。
パソナという派遣ビジネスで、日本人を搾取して上前をはねている竹中にだけは言われたくないのだが。
ひろゆきという人に話を戻す。
彼の本性はこうまとめられる。
人を騙して、蹴落とし、苦しむ姿を見て、バカとか自己責任と切り捨てることに、喜びを感じる性格である。
たとえ、大金持ちになったとしても、彼は虚しくないのか、虚脱感を感じないのだろうか?
もっと違う毎日が、彼をパリで待っているはずだ。
こういう人は、無視するのが一番であるけれども。
2022/7/6 追記
ひろゆきという人が賠償金を踏み倒している件について興味深い記事を見つけた。
さらに、イラク人質事件のとき、掲示板でバッシングを受けた今井さんの体験に関する記事もあった。
ご一読されたい。