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#7 美容院変えました

美容師さんを変えるタイミングと数年前に美容院を変えた話について。

先日、こんな記事を見つけた。

この記事より、この記事に対するコメントが面白かった。
「私は……が理由でお店を変えました。」
そんなコメントの多いこと、多いこと。

かくいう私も、そんなコメントを読んで
日本全国に同志はこんなにもいるのかと思った。


二十代前半から三十代半ばまで、同じ美容院に通っていた。
たまたま予約したその店は、当時はまだ珍しい髪や皮膚にやさしい低刺激のシャンプーやトリートメントを使用している美容院で、体調により皮膚トラブルが発生する私にはありがたかった。
15年ほど通っている間に、美容師さんは5人変わった。
最後の5人目までは、異動や退職が決まった時点で次の美容師さんに引き継いでもらっていた。
その時に私が内心「次は、あの人にお願いしたいな…」という人と、次の担当にと紹介される人は見事に一致していた。

マッチングの基準は
①会話の間(会話のキャッチボール)
②様々な感覚(価値観とも言う)
③プロ意識とホスピタリティ(親しき仲にも礼儀あり感がお互い持てるか).
あと、一番大きかったのは
④私の職業を知った上で、敢えて私も仕事の話をしないので美容師さんからすることもないと…いう点。
この関係性を維持できるかだ。

しかし5人目の美容師さんの時。
彼女が店を辞めると聞き、次は誰?とハタと考えた。
「いない…💦」と思った。
担当美容師さんが店を辞める前の最後のカットの際、彼女が言った。
『考えてみたんですけど、引き継げる人がいないんです…』
そこまで一致してしまった。
嬉しいんだか
困るんだか
よくわからない感情。
店を辞めるにあたり、相性のよさそうな人がいなくても、適当に誰かに引き継いでもよさそうなものだけど、その店で5人目の担当者の彼女は、真っ直ぐな気性で、人にも自分にも適当が使えない人だった。
そんなことしたら、すぐに私が気がつく、いや引き継がれた時点で「適当に引き継いだ」がバレると思ったんだと思う。
それは私からしたら技術と感性を含めた美容師さんとの「信頼関係」だと思っているけど、
美容師さんからしたら「気難しい人」だったんだろうか。お店の暗黙のルールなのか。真相は闇の中。

…ということで、私もこっそり彼女が新しく勤務することになったお店に異動(移動?)

夫婦二人で営む小さな美容院に彼女が新しく入った。
その店に勤務している間に彼女は結婚し、出産した。
彼女が産休に入ったのを機に、オーナーさんに担当を変わってもらった。
それは、なんの無理もなく自然な流れのようだった。

しかし、ある日、オーナー夫妻が家業を継ぐために美容院を閉店するというお知らせが届いた。
オーナーさんから技術的にも人間的にも信頼できる知り合いの美容師さんを紹介していただき、そちらに通うことになった。

当初は問題なかったが、
新たに紹介された美容師さんは、私の職業を知ってから、毎回家族のことについて相談なのか愚痴なのかよくわからない話をするようになった。(専門職といえば専門職)
1回目、まあ仕方ないかなと受け答えしてみた。
2回目、またか…とガックリした。疲れる。
3回目、相談系の愚痴になったら、軽く拒絶の意味で反応を薄くしてみた。
4回目、やった!相談系愚痴なかった!
しかし
5回目、もう大丈夫かな?と思ったら、その期待は見事に打ち砕かれた。家族の話、再開。
 
私は、仕事場を一歩出たら仕事は忘れる主義だし、ペラペラ話したくないタイプ。
中には真逆の人もいるだろう。
時事ネタや芸能ニュースみたいに仕事の話ができちゃう人が。

しかし私にとっては、美容院とかネイル、ボディケアは非日常。
非日常の場で、延々仕事に関する相談事は苦痛でしかない。
おまけに、相談系の愚痴に対して真面目に答えても、必ず『でもね…』と返してくる。それを繰り返して時間が過ぎる。

職業バレして以降、
美容院に向かう道すがら
また今日も家族の話(相談系愚痴)をされるのか…と気が重くなる自分がいた。
おかしい、なんかおかしくね?
楽しくない。

6回目の予約をする時に決めた。
今日も家族の相談系の愚痴を聞かされるなら、最後にしよう。

次の美容院のあてなどなかったけど、決めた。
6回目、ハイ家族の話始まりました。
カットを終えて、私を見送る美容師さんを背に

今までありがとうございました。
さようなら。
二度と来ません。
と心の中で呟いた。

スッキリした。
私だけが一方的に気持ちが重くなる時間から解放された。

次の美容院は自力で探すこととなった。
前述のように、体調によって皮膚トラブルを起こす可能性があるので、シャンプー等低刺激の製品を扱っているお店にしたかった。
しかしHPなんてゴマンとヒットしちゃうし、口コミサイトもよくわからない。

結局、よく買物に行くオーガニックマーケット&カフェのイベントにゲストとして招かれていた方の中に美容師さんがいることに気づいて、その方のお店に予約を入れてみた。
当該美容師さんは新規受付なしということで、同じお店の別の方にお願いすることになった。

この美容師さんとは、
当初こそ、お互い堅くてよそよそしかったけど、
お店のHPの美容師さんのプロフィール欄にあった
「アイドルヲタ」の話題を切り口に、一気に話が弾んだ。

私はアイドルヲタではないが、
10-20代前半の男性アイドルと称される人の中に
佇まいや演技の中に「儚さ」が匂い立つような人がいると時々感じることがあり、そういう人を発見すると、映像作品なんかは追ってしまう。その「儚さ」は、年齢とともに消えてしまうんだよね…儚さがなくなっても、いい表現者でいることが多いけど…と話したら、

『あ!それ私も思います!
あおばさんと私は美意識みたいなものが似ているかもしれませんね。』

ここから、びっくりするくらい距離が縮まった。
期せずして盛り上がるアイドル論。

今は、そこにお世話になって快適なヘアカットの時間を送っている。

今の美容師さんは、担当になってもらって4年ほど経つが、職業については一切詮索してこない。

この経験以来、あらゆる場面で
「お仕事何されてるんですか?」と尋ねられてもはぐらかして真面目に答えないようになった。
なんなら毎回違う答えを装備するようになった。

髪は身体の一部でもあるから、繰り返し通う中で自己開示が始まる
距離が縮まる
距離が縮まると素が見え隠れする
距離の詰め方も
何がきっかけになるかはわからない。

ただ
相手が今、どの位置にいて
どんな距離感を望んでいるのかを
感覚的に理解できる人
感覚を共有できる人
お互いのチューニングが何処にあるのか
探りつつ、FMラジオの音声がクリアになるようなポジションを見つけられたらラッキー。

そういう人とは
長く付き合える気がする。

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