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塩畑大輔
2020年10月26日 12:00
あの有名なシャンゼリゼ通りを、僕は泣きながら歩いていた。気晴らしに、とパリ市内のホテルの部屋を出た。地下鉄を乗り継いで、凱旋門の最寄り駅で降りた。地上に出たところで、電話が鳴った。残念な「知らせ」だった。すべては無駄だった。聞きながら、何度もため息をついた自覚があった。やっぱり無理だったんだ。いまさら何ができるというのか。当てもなく、ただ茫然と、通りを東へとくだっていく。次の