生徒に伝える数学の話
お越しいただきありがとうございます。
受験コーディネーターの廣川です。
54回目の投稿です。
今回は、講演会や授業、保護者の方々への説明で話すことを書いていきます。
数学という科目の特性
予てから計算で成績を上げるといっていますが、多くの生徒は数学を苦手としているので、自分の言葉に疑心暗鬼になっています。その大きな原因は「数学はセンス」だと思わされているからなんです。入試問題なんて、ひらめかないと解けないじゃないですか、などと言っている方を見かけます。確かに大学以降の数学はそうかもしれませんが、大学入試までは完全に暗記科目です。そうに言うと必ず「出た出た、出来る人だけの理論」みたいな顔をされます。
それでは、例を上げてみましょう。皆さんは小学生の時に『九九』を覚えましたよね? あの呪文のような変な節を付けて、一の段から九の段までを誰もが暗唱出来るまでやりましたよね。あれって暗記ですよね?
さらに言えば、その他の計算だって、よく出てくる16×3=48や13×7=91なんていうのも、計算を繰り返していれば覚えてしまいます。だから、計算が速くなるんです。
同様に、数学の学習方法では問題の解法パターンを覚えて、それを使って実際に問題を解く練習を繰り返します。つまり、ひらめきなんてものではなく、解法パターンの記憶で解くんです。だから、だれでも出来るんです。
ただご存知の通り、入試などでは制限時間がありますので、その時間内に解くためには、計算力が必要になります。こちらも誰でも獲得出来ますが、日々の計算練習は欠かせません。よく生徒には言うのですが、入試で時間無制限だったら、ほとんどの受験生は満点を取るはずです。受験はその総合的な競技ですから、どちらも力をつけておかないと難しくなります。
それで『数学はセンス』などと言って、言い訳にしているのだと思います。
高校での数学の壁
まあ実際に、中学で数学は出来ていても、高校へ行ったら苦手になってしまう生徒が多いんです。
これは、数学が中学に比べて高校では、科目がふたつになって、しかも授業のスピードが倍になって、都合では中学の4倍になるんです。さらに高校の数学の教員に数学が苦手だったなんて方は皆無で、数学分かっている授業が進んで行くので、中学の頃の学習スピードでは置いて行かれるわけです。
本当は、大学入試と高校入試の数学では、高校入試の数学のほうが何倍も難しいんです。大学入試の数学では、高校入試の数学のように、いくつもの単元を跨いだような問題はありません。そうです、関数と図形、相似などがひとつの問題に組み合わさって出たりしないんです。
騙されていますよ。センスなんていう言葉に。
と言った内容の話を、生徒には最初にします。それで中学生は力をつけていきますが、高校生になって自分の目が届かなく(授業が終了しているので)なると、あっという間に数学を諦めていたりします。聞くと「急にわからなくなった。」と全員が言います。ほんの数か月前まで得意だったはずなのにです。そうです、置いて行かれているんです。そうなると決まって生徒に言うことが
「なんで俺を呼ばない!」
以前、ある生徒に定期テスト前に呼んでもらい、授業をしたのですが、苦戦していたのは二次関数でした。授業は午後からでしたが、朝から取り組んでいたそうです。平方完成して、頂点と軸を求めて、移動を・・・なんて問題ですが、朝から悩んでいた問題を説明すると、キョトンとしています。わからなかったかともう一度説明しようとすると
「それだけ? それでいいの?」
そうだと、改めて問題を解かせてみると、スッと解きました。生徒はビックリしていました。そのあと一言
「俺の朝からの時間を返して!」
先日も埼玉県議会で、県内の理系高校生のための質問が出ていました。数学オリンピックや科学研究の補助事業とか言っていましたが、もっと基本的な数学の授業補助が必要かと思います。数学のせいで理系を諦める生徒を減らすべきだと思うのですがね。この先、大学の理系学部では、女子の定員を増やす方向で調整しているとも聞いています。
簡単に理系を諦めないでください。
今や書籍に教科書と違って、分かりやすいものがたくさんあります。YouTubeなどにも良いものがありますので、うまく利用してみてください。応援しています。
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最後までお読みいただきありがとうございました。