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【短篇】小さな一歩から始まる大きな冒険

第1章:「無理」だと思っていたこと

高校2年生の佐藤みどりは、体育の授業が苦手だった。特に持久走の時間は、いつも最後尾でゴールする。そんなみどりが、ある日祖父の誕生日プレゼントとして「山登り」に誘われた時、思わず顔をしかめた。

「え?私には無理だよ!」みどりは即座に断ろうとした。

「大丈夫、富士山じゃないよ」
祖父は優しく笑った。
「この近くの低い山だよ。高さは500メートルちょっと。」

第2章:新しい発見

休日の朝、みどりは不安を抱えながら祖父と待ち合わせた場所に向かった。駅には意外にも、家族連れや年配の方々が数組いた。

「最近はね、こういう低い山が人気なんだ」
祖父は説明した。
「コロナの時から、遠くの高い山より、近くの低い山に来る人が増えたんだよ。」

第3章:山頂までの小さな一歩

登山道は思ったより整備されていた。途中で休憩を取りながら、ゆっくりと進む。

「焦らなくていいんだよ」
祖父が教えてくれた。
「山は逃げないし、自分のペースで登ればいい。」

途中、野鳥の声を聞いたり、珍しい花を見つけたり。高い山ではないけれど、新しい発見の連続だった。

第4章:頂上の向こう側

2時間ほどで山頂に到着。「やった!」みどりは思わず声を上げた。

山頂からは街並みが一望でき、近くには温泉街も見えた。下山後、祖父と温泉に立ち寄り、地元の名物を食べた。
「山登りって、登るだけじゃないんだね」
みどりは新しい発見に目を輝かせた。

第5章:広がる世界

その後、みどりは同じクラスの友達を誘って、別の低山に挑戦するようになった。

「最初から無理だと思っていたけど、小さな一歩から始めれば、どんなことでも挑戦できるんだね」

エピローグ:新しい扉

1年後、みどりは登山部を設立。「誰でも楽しめる山登り」をモットーに、初心者向けの低山ハイキングを企画するようになった。

時には、お年寄りのグループと一緒に登ることもある。みどりは言う。
「山の高さより大切なのは、一歩を踏み出す勇気。それさえあれば、新しい世界が広がっているんです。」

物語から学ぶこと

  • 最初から「無理」と決めつけない

  • 小さな一歩から始めることの大切さ

  • 新しい視点で物事を見直すことで、新たな可能性が見えてくる

  • 年齢や体力に関係なく、みんなが楽しめる方法は必ずある

  • 挑戦することで、思わぬ発見や喜びが待っている


登山の話なので『風は山から吹いている(額賀 澪)』をふと読み返したくなりました。


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