それってほんとに「かまってちゃん」だと思う?
こんにちは。
㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を理念とし、
企業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。
さて、今回もコミュニケーションがテーマの記事です。
マネジャー職の方からこんな質問がありました。
こちらが「そんなことないですよ」と言ってもパートさん的には腑に落ちていない様子ですが、
かといって「そうですね」と言うわけにもいきませんよね。汗
しかし、これを「職場の困ったかまってちゃん」と簡単に片付けるのは
時期尚早です。
なぜ、このようなことが起こってしまうのか、
カウンセリング理論の交流分析から、「ストローク論」を使って考えていきたいと思います。
交流分析理論からみる「ストローク論」
ストロークとは
まず、ストロークとは相手の存在や価値を認めるような様々な刺激のことをさします。
辞書的には「なでる・さする」といった意味があります。
ストロークを受け取ったり、与えたりするには3つの手段があります。
さらにこのストロークには、上記のような肯定的なものだけでなく否定的なストロークもあります。
ストロークの法則
そしてストローク論には、次のような法則があります。
「私なんていなくてもいいんですよね...?」という発言をもう少し深堀して考えると、
「こんなことならいっそ“辞めろ”って言ってほしい」というような言葉が聞こえてくる(気がします)。
つまり、マイナスのストロークを挑発しているように感じるわけです。
誰でも新人のころは、一つ仕事が出来るようになると上司や先輩から
承認の言葉(プラスのストローク)をかけられるものです。
それがいつしか「出来て当たり前」になり、
数年経つとベテラン的存在になり、褒めてくれる人の数はぐっと減ります。
上司が年下だったりすると注意されたり、耳の痛い指摘(マイナスのストローク)さえ受けられないかもしれません。
そういった心情から、「私なんていなくてもいいんですよね...?」という言葉が出てきてしまっているのではないかと、私は思うのです。
(あくまで仮説ですが)
普段のコミュニケーションでできるストローク
挨拶にちょっとひとこと
ストロークはあえて面談をしたり、わざわざ褒めに行ったりすることだけではありません。
「あなたのことを見ているよ」「気にかけているよ」というメッセージを
送ることが大切です。
「セクハラと言われないか気になる」という方もいらっしゃるかと思いますが、
髪型について言及することがセクハラなのではなく、
普段の信頼関係がキチンと取れていないことが問題です。
(例えば長い髪をバッサリ切って出勤したのに、誰にも何も触れられなかったら落ち込みませんか?)
それでも気になる、という方はコチラでもいいかもしれません。
あなたを気にかけている一言、を付け加えてみて下さい。これなら今からすぐにできます。
“ほめる”ではなく“感謝”
ちょっと意外かもしれませんが、相手にプラスのストロークを送る際、
“ほめる”よりも“感謝”の方が効果的です。
もちろん、何もないよりは褒める方が良いですが、褒めるは叱ると同じ、
“上から目線”と言われています。
年上の部下やベテランのパートさんに対して使うと、逆に気を悪くされる可能性もあります。
また、もう一つリスクがあります。
褒めるは叱ると同じ、上から目線というお話をしましたが、
叱る人が居なくなると職場がダレるのと同じように、褒める人が居なくなると相手は望ましい行動を取らなくなります。
つまり、あなたが褒め続けないといけなくなる、ということです。
それに対して感謝は“横から目線”と言われています。
少し例をあげてみます。
アドラー心理学における幸せの3原則とは
①自己受容
②他社信頼
③貢献感
と言われています。
誰かに貢献できたと思った時、人は幸せを感じるのです。
横から貢献に感謝、で言葉をかけてあげて下さい。
相対する意見も「まずは受け止める」
意見が対立している、自分の考え方を部下やスタッフが受け入れてくれていない時も
「いや、それは違いますよ」といきなり否定するのではなく
“まずは受け止める”という姿勢が大切です。
ここで誤解してほしくないのは、
それは相手の意見に従う・飲むということではありません。
それは“受け入れる”に当たります。
“受け止める”とは「あなたはそう思うんだね」というニュアンスです。
「相手がそう思ったことを理解する」ことと
「その意見を飲む」ことは別です。
意見が採用されなかったとしても、
「あなたはそう思ったんですね」と受け止めてもらうだけで相手の気持ちはずいぶんと変わります。
意見が対立する相手こそ“まずは受け止める”を意識してみてください。
まとめ~ストローク不足だった頃
さて、本日の記事では
「私なんていないほうが…」というちょっと困った部下・スタッフに対する対応をストローク論を使って解説しました。
ストロークを求めることは人として当たり前のことで、
プラスのストロークが不足すると誰しもマイナスのストロークを求めるようになってしまうのです。
私も、過去にストローク不足ですごく辛い思いをしたことがありました。
飲食店で責任者として働いていたころ。
当時は平日の店長の休み回しで大阪の色々な店舗を回っていました。
責任者なので、いくら自分のスケジュールが12:00-21:00とかだったとしても
朝のパートさんが休めば自動的に自分が早出、深夜スタッフが休めば
夜中2時や3時までの勤務は当たり前でした(当時は)。
責任者だから、早出・残業は当たり前、という雰囲気があったので、
誰からも感謝の言葉はかけられません。
手が空いた時にちょこっとバックヤードやパンパンになった書類ファイルを整理しても、
後日店長から「ありがとう!」という連絡が来ることはありませんでした。
だんだん、店長の仕事の抜けや不備が気になるようになってきて、
ある時我慢できなくなった私は店舗の業務用の端末(ipad)を
全部機内モードにして帰ったことがありました。笑
ipadをそこまで使いこなせてなかった当時の店長。
繋がらない!とパニックになってサポートデスクに電話したりしていたようです。
あとは、店長の出勤日の食材納品量を全部ゼロにして帰ったり。
結局エリアマネージャー経由で私が注意を受けるわけですが(マイナスのストローク)、
普段そんなことしない私が何でそんなことしたのか、
理由も聞いてくれなかったことがすごく悲しかったことを
今でも鮮明に覚えています。
マイナスのストロークを受け取ったところで、結局何も満たされないわけです。
自分で言うのも何ですが仕事に対しては基本的に真面目で、
一生懸命頑張っている私ですが
ストロークを受けないと人ってこんなに変わってしまうんです。
だから今、あなたが「職場の困ったかまってちゃん」だと思っているその人はストローク不足なのかもしれません。
どうかその人が自分で自分に「困ったかまってちゃん」のレッテルを貼ってしまう前に
今できる小さなことから、ストロークを与えてあげてほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
弊社ではコミュニケーションを中心とした企業研修、
人材育成コンサルティング、社内相談窓口代行を行っております。
ご興味のある方は弊社HPからお問い合わせください。