043 日本人は自己肯定感が低いから知的生産性も低い
日本の知的生産性が低い理由は「自己肯定感の低さ」に原因があると考えている。
自己肯定感という言葉は「中核的自己評価」という言葉に置き換えることができるんだけど、主な要素は次の4つ。
◆自尊心(Self-esteem):自分を好きか嫌いかの度合い。非遺伝的で幼少期の環境が影響すると言われている。
◆一般化された自己効力感(Generalized self-efficacy):自信とほぼ同義。後天的で経験・達成の循環の中で高まっていく。
◆統制の所在(Locus of control):自責か他責かの度合い。後天的で物事に対する意味付け次第で変動する。
◆神経症傾向(Neuroticism):ストレス耐性のこと。遺伝的、パーソナリティ特性の分類法であるビッグファイブの一つ。
さて問題は、日本人の自己肯定感の低さなんだけど、これってどうやったら上がるのだろう?
まず遺伝的な「神経症傾向」や幼少期が影響する「低い自尊心」については、簡単に変えることはできない。
なので「自己肯定感のアップ」と「自責と他責のバランスを取ること」を支援することが知的生産性アップの最善策となる。
これが私にできる最大限の支援だと思っている。
自己肯定感のアップ
下の図はSCCTモデルと呼ばれる自己効力感の高まりを説明する図である。
要約すれば大事なことは次の3点。
①ポジティブなコミュニティにいること(言語的な励ましが得られる、他人から認められる環境)
②その中で試行錯誤すること(目標を持ち、チャレンジし、結果を見て改善する意識)
③そこで結果を出すこと(達成経験、代理経験、想像的体験など)
ただし、そもそもの問題として①の環境が整っていないことが多い。
これは多くの日本人がもともと中核的自己評価(自己肯定感)が低いことが原因だと思うけど、ここにメスをいれる必要がある。
自責と他責のバランスを取る
自責と他責どっちが良い?
と聞かれたら、「なんでも人のせいにする他責思考の人は勘弁してもらいたい」と言う人は多いと思う。
でも知的生産性の側面から見たら、自責より他責の方が好ましい面がある。
自責の人は、文字通り「自らを責める」ので、ウツっぽくなりやすく、仕事を抱え込んでしまう傾向があるため、どうしても知的生産物の量は少なくなってしまうからだ。
じゃあ他責になれば良いのかって、個人はそれでいいかも知れないけれど、組織にとっては大きなマイナスである。
他責の人がいること自体、そのコミュニティの心理的安全性を破壊するからだ。
また、他責による知的生産性は高度な分野になるほど低下すると考えられる。
彼らは自分自身を省みる気持ちが薄いため学習効果はすぐに頭打ちになる。
これらを考えると、自責でもなく、他責でもなく、その中間、もしくは自責と他責の使い分けが必要だって分かってくる。
要するにアサーティブな感じがよい。
知的生産性を上げるための具体的な方法
ここまでの考察で、自己肯定感(中核的自己評価)を上げるための方法は次の2点。
①会社をポジティブなコミュニティに変革し、みんなが試行錯誤し結果を出すようにする
②経営者および社員一人一人の自責と他責のバランスを取る(アサーション)
さて、これをどう具体的な施策にしたらいいのか。
私のやり方は次の3点。
①【トップに対して】コーチングによりアサーショント力をアップする
②【組織に対して】ファシリテーションにより、出席者のアサーティブな発言を援助をし、承認文化を育み、ポジティブなコミュニティにする
③【社員に対して】1on1で関わり、SCCTサイクルを回す。これにより社員達の自己効力感を高める。(1on1代行)