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037 アサーティブな主張が組織の知的生産性を上げる
しっかり自己開示できる人の主張は、自分の感情を眺めながらも、感情に囚われずしっかり要求を組み立ている。(「感情の自己観察」に基づく「アサーティブな主張」という)
それができずに、感情に飲み込まれた人は「恐る恐る」や「だんまり」を決め込むか(受身的)、「頭ごなし」や「ズケズケ」でごまかすか(攻撃的)、または「作為的」な戦略を取る。
この3つの戦略、見かけはまったく別ものに見えるけど、根っこは「感情に飲み込まれている」という点で一緒なんだよね。
だんまり戦略を取る人
自己開示するたびに「言い過ぎてしまった、ごめんなさい」みたいな言い訳する人がいる。
こういう人は「本音を出したら人間関係が壊れる」とでも思いこんでいるんだろうか。
たしかに自己開示すると「相手の気分を悪くさせた」「相手からへんな奴だと思われた」と思われる可能性はある。
でも、相手がどう思ったのかを知る前に、謝るってしまうってのも変だよね。
たとえば次のような感じだ。
「受身的」なBさんの例
Aさん:あなたは先ほど、「いやあ、それだと…」って言ったけど?
Bさん:(うろたえながら)い、いや、そういう意味じゃなくて…
Aさん:いやいや、責めているわけじゃなくて、何か問題があれば教えてもらいたいんだけど。
Bさん:(謝る仕草で)いや、ほんと、ごめんなさい
Aさん:うーん、そんなんじゃないんだけど…
なんでBさんはこういう反応をしてしまうのか。
おそらく「自分の考えを話す」➡「相手は怒る」と思い込んでいる。
条件反射なのかも知れないけれど、過度に恐れてしまっては会話にならないよね。
ズケズケ戦略の人
なら、「相手の気持ちを考えずにズケズケ言った方が良いのか?」といえば、それはそれで極端すぎる。
たとえばケンカをふっかける時って、けっして本音なんかじゃない、と言ったら分かるかな。
喧嘩とは、往々にして心にないことでやってしまうもの。
夫婦喧嘩なんかそうじゃない?
たとえば次のようなやり取りだ。
お互いに「攻撃的」な夫婦の例
妻:たまには掃除くらい手伝ってよ
夫:(ムカッとした顔で)はあ、昨日の夜掃除機かけたのを見てなかったのかあ?
妻:それはあんたの部屋の話でしょ。それ以外全部私がやっているでしょ。
夫:(まあそうだなと思いながらも)全部?全部じゃないだろ、この間も玄関の掃除をしたのは俺じゃないか!
妻:(確かにそうだったと思いながらも)玄関って、あんた、何平米よ!
本音は他にあるのに、売り言葉に買い言葉で、心にないことを言ってしまう。
じつはズケズケ言うってのは、自分を守る「鎧」みたいなもので、どちらかと言えば本音を隠す行為。
もしかしたら心のどこかで「自分が言いたいことはこれじゃない」って分かっているかも知れないけれど、相手をやっつけたい気分のほうが上回っている。
上司が「攻撃的」で部下が「受身的」な会議の例
上記は普段の生活の例だったけど、これが会社だと典型的なパターンが現れる。
次のような感じだ。
「受身的」なAさんと「攻撃的」な部長の例
Aさん:(また部長に怒られるなあ…)ええと、あのーですね…〇〇社の件ですけど…まあなんていのか…契約がですねえ…
部長:(いらいら)
Aさん:(ああやっぱり怖い顔している)これはこちらのせいと言うより…○○社の専務がですねえ…
部長:(怒鳴るように)いい加減にしろ!
「受身的」なBさんと「作為的」な課長の例
課長:(ビクビクしながら)あのお、この会議室の予約は10時まででしてえ…
部長:だったらあと30分延長するように調整しろ!
課長:(もう次の人たちが外で待っているのに無理だろうと思いながら)はい!調整してみます!
(会議室の外で次の利用者と会話)
課長:(部長に聞こえるように)そこを何とかなりませんか!やっぱり無理ですか!
(会議室に戻り)
部長:部長、ちょっと厳しいですねえ。次回改めて話し合いませんか?
アサーティブな会議の例
じゃあまともな会議はどんな感じか。
自他を尊重した適切な主張する話法を「アサーティブ」と言うのだけど、まともな会議ではこれが行われている。
アサーティブとは、行動療法に起源を持ち、相手の自己主張する権利を認めたうえで、自分自身の意思や権利を主張するコミュニケーションである。
具体的にはDESC法(デスク法)を使えばアサーティブな主張がしやすい、と言われている。
DESC法とは?
アメリカの心理学者ゴードン・バウアーらによって提唱された主張法
Describe:客観的事実や印象などを述べる
Explain:自分の気持ちや理由や背景を説明する
Specify:とるべき方法を提案する
Choose:選択肢を提示する
アサーティブな会議の例
アサーティブなAさん:○○社の件ですが、昨日、部長にご報告したとおり〇月〇日に契約が延期されています。【D:客観的事実の報告】
アサーティブな部長:〇〇社は私が担当者の時代に開拓したのだが、今回の社長交代によって今後の取引がどうなるのか気になっている。その辺りはどんな感じだ。【E:自分の気持ちや背景の説明】
アサーティブなAさん:はい、新社長の考えについては先方の専務を通じて聞きました。しばらくは取引業者を変える考えはないそうです。今回の契約延期はコロナを配慮したものであり、契約自体が流れる心配はないとのことです。【D:客観的事実および印象の説明】
アサーティブな課長:この商談には私も参加しました。部長との関係については先方の専務・担当部長・担当者ともよく分かっておりました。少なくとも今回の契約については、契約日が〇月〇日と明確に示されてますので、まったく心配いらないと思います。【D:客観的事実および印象の説明】
アサーティブな部長:では〇月〇日の契約には私も立ち会おうと思うが良いか?【S:方法の提案】
アサーティブな課長:はい、先方の専務は会いたがっておりました。【D:客観的事実および印象の説明】
どうだろうか。
「受身的」「攻撃的」「作為的」な主張と、DESC法を用いたアサーティブな主張では、結果が異なることが分かるだろう。