逃した魚
逃した魚はデカすぎた
掴んだと思ったら
ツルッと抜けて逃げてしまった
後悔の数々
無駄な思考
逃した魚はくるくる回っている
僕の視線もぐるぐるぐるぐる回っている
「どうせあの魚は酸っぱくて不味い」
そんな風に自分に言い聞かせても
僕は知っている
あの魚の味を
あの逃した魚の美味を
キツネはいいな、知らなくて
後悔してももう遅い
魚を逃した事実は変わらない
意味の無い釣り糸
関係の無い魚を追い求め
勝手に比較し落胆し
適当に逃す別の魚
やはり一匹、ただ一匹
あの魚をまた釣る為に
頑張らなければ、今すぐに
1/22 多田冬