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蛤に句を吐かせたり鳴雪忌

「蛤に秋の発句を吐かせたり」という句がございます。
これは、正岡子規さまの遺稿「闇汁圖解」というものに載っておりますの。

闇鍋という料理がありますけれども、実は歴史が古く平安時代には行われていたそうで「一種物(いっすもの)」と呼ばれていたそうでしてよ。 文壇でも流行ったらしく正岡子規さまが好きだったそうですわ。 どなたかが大福を鍋に入れたりという記録まで詳細に残っておりますのよ。

その総じて下品な文言が飛び交う記録の中で、年長者の内藤鳴雪さまの気配りがまことに良いものですの。 仕掛けをしたハマグリを各自のお椀に配りまして湯を注ぐと昆布・お麩・鰕と占いの紙が出てくるという演出をしたようですわ。 こういう殿方は惚れますわね。

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芙蓉セツ子
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