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お千度の稚児行く顔や半夏生
ごきげんよう。
本日7月2日は雑節「半夏生」ということで畑仕事を終える目安とされている日だそうですわ。
わたくしは「半夏生」と聞きますとあの白化粧の美しい草本が浮かんでまいります。去年も確かそんなことを描いた覚えがありますわ。
雑節というのは一年が巡っていることを感じさせますわね――。
元々「半夏」と申しますのは薬草のカラスビジャクから来ているそうでして、漢方ではその根の部分が「半夏」というそのままの名前で用いられておりますわ。この薬草が生える頃ということで雑節の「半夏生」が生まれましたのね。
そう考えますと、白い葉っぱの「半夏生」は最後に名前がついたのかしら。
本日の雑節「半夏生」の由来が薬草の「半夏」が「生えてくる頃」という意味だといたしますと、この時期に花を咲かせる白い葉の草が「半夏生」と言われておりますのは、最後に名付けられたということですわよね。
薬草から転じて、別の植物の名前として定着しているのはなんだか面白うございますわ。
それにしましても、わたくし「半夏生」の白い葉っぱを眺めているのがまことに好きですわ。粉砂糖をふりかけたようで愛しゅうございます。
深い緑色に白の翻る、まことに夏らしい草本かと存じますわ。
さて、今日の表題の一句
お千度の稚児行く顔や半夏生
ですけれども、お千度の稚児と申しますのは、これより1ヶ月間続きます京都祇園祭の始まりを告げる「長刀鉾町稚児お千度」のことでして、顔を白塗りにした稚児が八坂神社にお参りいたしますのよ。
なんとなく「半夏生」の白化粧をした葉っぱから、白塗りをした幼い子の手を引かれていく様子が想像されましたわ――。
ただ実は「祇園会」は晩夏の季に採られておりまして歳時記によっては子季語に「鉾の稚児」という言葉も載っておりますから、季重なりの句になるかもしれませんわ。
わたくしもどちらかと申しますと主題は顔を白く塗った可愛らしい稚児のほうにありますから、半夏生を詠んだ句というよりは祇園会の句かしら――。
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