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庭椿赤や白より照る緑

2月26日は俳人、河東碧梧桐さまの誕生日でしたわ。

碧梧桐さまと申しますと代表的な句に「赤い椿白い椿と落ちにけり」というものがありますけれども、これは子規さま存命の頃の若い時期の作品で、その後は自由律の新興俳句を志すようになられた方ですわね。

正岡子規さまの弟子の中で高浜虚子さまと双璧を成す碧梧桐さまですけれども、その俳句は真逆の思想に向かっておりまして、例えば

「正月の日記どうしても五行で足るのであつて」碧梧桐

といった風に、伝統的な有季定型を守る虚子さまとは相容れない作風へ歩んでまいります。

碧梧桐さまは最終的には「ルビ俳句」と申しまして、例えば

「簗落の奥降らバ鮎はこの尾鰭る」碧梧桐

というように当て字にルビを補足をしないと成立しない俳句(例えば尾びれをここでは(オチ)と読んでおります)を試してまいりますの。当て字と申しますと漱石さまが有名ですけれども(浪漫:ロマン)
碧梧桐さまは俳句で似たようなことをしようとしましたのね。

ただルビ俳句のほうは、実際に読んでみますと若干無理がある気がいたしますわ。例えば「煙」と書いて(くゆらす)とルビで付していましたり、中々難しゅうございますわね。

ということで本日は河東碧梧桐さまのお誕生日でございました。
ちなみに私が碧梧桐さまの春の句で好きなのはこの句かしら。

「両肩の富士と浅間や二日灸」碧梧桐

二日灸というのは旧暦2月2日にお灸をすえることで無病息災の願いがあるのですけれども、そうは言ってもお灸は熱いものですからそれを険しい山に例えたところに、お灸をすえられている碧梧桐さまの熱さに耐え忍ぶ気持ちが伝わってくるように感ぜられますわ。

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芙蓉セツ子
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