新規キャンバスaa

清らけし羽音すなり団扇撒

ごきげんよう。奈良にあります唐招提寺(とうしょうだいじ)というお寺さんでは毎年この時期に「うちわまき」という行事があるそうでしてよ。
僧侶の皆さまが鼓楼の上から「宝扇」を撒く一風変わった行事で、うちわを授かると魔除けのご利益があるのだとか。

鎌倉時代の僧が蚊を殺さなかったことを讃えた法要だそうですわ。

この「うちわまき」という行事の由来ですけれども、鎌倉時代に覚盛という高僧の方がおりまして、ある日蚊を叩こうとした弟子に「血を吸わせるのも菩薩行である」と不殺生を説いたそうですわ。
そこで法要では上人を讃え、蚊を払う団扇をお供えするようになったそうですわ。由緒のある行事ですのね。

覚盛上人は蚊も殺めなかったほどですから戒律には厳しかったようで「鑑真の再来」とも呼ばれたそうですわ。鑑真は律を日本に伝えた開祖のような方ですから、いかに讃えられているかよく分かりますわね。

ちなみに「団扇撒(うちわまき)」は初夏の季語として採用している歳時記と、載っていない歳時記がありますわね。
うちわ自体が夏の季語ですし、由緒も正しい行事ですので季語として用いて問題ないと思いますけれども、わたくしの持っている歳時記の一つには載っておりませんでしたわ。


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芙蓉セツ子
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