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菩提寺に耳慣れ雀の彼岸かな
本日は春分の日、お彼岸の中日ということでお墓参りですわね。暖かな一日で「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉のぴったり来る春のお彼岸だったのではないかしら。
さて、七十二候ですと本日から春分の初候「雀始巣(すずめはじめてすくう)」ですわね。「雀の巣」というのは春の季語になっておりますけれども雀というのは面白うございまして季節ごとに「雀」の季語がありますわ。
春の今の時期は「雀の巣」あるいは「雀の子」ですけれども、例えば秋には「稲雀」という稲を啄む姿、冬には「寒雀」としてふっくらとした姿――、それだけ昔から身近な存在ということかしら。冬の雀は「ふくら雀」とも申しまして、まことに可愛らしゅうございますわ。
よく鳥を見て俳句を詠もうとするのですけれども、多くの鳥は季語になっておりますので、季節が違ってしまったりするのです。
例えば、ユリカモメが飛んでいるのを見て春の景色に入れようとしますと、ユリカモメ自体が冬の季語ですから困ってしまいますわ。
けれども雀はどの季節でも随意に詠めます。俳句を嗜む人にとりましては、まことにありがたい存在ですわね。
トランプで申しますと雀はジョーカーのような存在かしら。
どの季節にも似合う、身近な小鳥ですわ。
菩提寺に耳慣れ雀の彼岸かな
「おどろかすかひこそなけれ村雀 耳なれぬればなるこにぞのる」
室町時代に蓮如上人が説法に引用した短歌なのですけれども、それをさらに引いてまいりました。
鳴子という鳥を追い払うものにも慣れてしまい雀が群がっている様子を、末法の世の仏法と人の関係になぞらえたのかしらね。
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