新規キャンバスd

人はみな花見虱の虱かな

今日はまた川沿いをお散歩してきたのですけれども、早咲きの河津桜には若々しい緑が出てまいりまして、他方で八重桜の蕾が開きかけておりました。お彼岸も近づきまして、春もそろそろ次の主役へと交代しようとしているのかしら。

普段どうしても桜を見ますと花に目が行きがちですので、今日は河津桜の新葉をよく観察してきましたわ。細かな歯のある萌黄色が柔らかで、摘んで煎じたらお茶になるのではないかしらと一瞬思ってしまいました。

桜の葉は塩漬けでお料理に用いますけれども、例えば天ぷらにして頂けたりするのかしら。そんなことを漫然と考えながら今日は帰路につきましたわ。

そして早速花見の句でも推敲を思いましてパラパラと本を捲っていたのですけれども、そうしましたら「ゾロゾロと虱も襟で花見かな」という一句を見つけました。

作者は不明なのですけれども、この句の季語は「花見」ではなくって「花見虱」なのです。暖かくなった頃に活動を始める虱で晩春の季だそうですわ。

そう綺麗なものではないですけれども、なんと申しますかこういった季語を用いた句がありますと、わたくしは嬉しくなるのです。


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芙蓉セツ子
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