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靴墨の擦る手や霞む鐘の音

本日は七十二候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」ということで、遠くの山々に薄ぼんやりとした霞のかかる季節になりましたわね。
「霞」は春の代表的な季語の一つで、これが夜になりますと「朧」と言葉が変化してまいりますけれども、どちらも趣きのある情景ですわ。

「霞」という言葉には、実はもう一つ「鐘霞む」という別の季語もありますのよ。

麗らかな春の陽気の中を、梵鐘の音がどこから遠くからぼんやりと聞こえてくる様子。説明してみますとこうして長くなる情景を「かねかすむ」というたった5字で表現していますのがこの季語の凄いところかと存じますわ。

靴墨の擦る手や霞む鐘の音

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芙蓉セツ子
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