新規キャンバスsasa

鬼灯の熟るほど青の濃かりけり

皆さまごきげんよう。
本日より浅草寺では夏の風物詩「ほおずき市」が開かれておりまして、大小様々に鮮やかな鬼灯が露店に並んでおりましたわ。
参道には風鈴のキラキラとした音と威勢のよい商人の声が響いておりまして、下町の夏が広がってまいります。

今年も、もうお盆の季節なのですね――。

さて、なぜ今日から浅草寺で「ほおずき市」が催されているのかと申しますと、元々明日7月10日が浅草寺の功徳日とされておりますのよ。明日浅草寺にお参りをされますと4万6千日分の効果があるそうですわ。
そこで、気の早い江戸っ子が前日の9日より押し寄せるようになりまして、この2日間が縁日になったそうでしてよ。

古来「ほおずき」は薬草として用いられていたようでして、丸呑みすると持病が治るとされていたようですわ。
お盆の前にお供え物を買い求める目的でも鬼灯が売られていたそうですけれども、兎角この盛夏の季節らしい景色ですわね。

さて、それでは「ほおずき」は夏の季語に違いないのだろう――、と思ってしまうのですけれども実はそうでもありませんで、俳句では「初秋」の季節に採録されておりますのよ。
ちなみに一昨日の「七夕」も晩夏ではなくて初秋の季語なのです。
なんだか不思議ですわね――。

なぜ「ほおずき」や「七夕」が秋の季語になるといった季節のずれが生じるかと申しますと旧暦の関係なのです。
元来旧暦を用いていた頃はひと月ほど後のことですから立秋の頃になりますわ。ですからその頃の俳人にとっては自然な季節感だったのですわね。それを新暦の今日も使い続けているので、少しずれてしまいましたのね。

木漏れ日や微かに浴びる紫外線
参道のやや色付きて草の市


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芙蓉セツ子
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