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雨紫花や黄色い傘の誇らしく
ごきげんよう。今日は一日いかにも梅雨らしい梅雨のお天気で、道端の紫陽花が鮮やかに目に映るお空になりましたわね。
この紫陽花の花というのは面白いもので、よく晴れた青空よりも鈍色の空のほうがどこか美しく感ぜられますわ。
太陽のよく似合う向日葵と正反対のようなお花かしらね。
そんな「雨」の似合うアジサイですけれども、漢字で書きますと「紫陽花」となりますように、名前に「陽」の字が入っているのが面白いですわ。
不思議に思いましてその由来を調べてみましたらこれは漢名を輸入する際の誤用だそうでして、古代中国では「ライラック」のことを指していたそうでしてよ。
わたくしでしたら「雨紫花」と当て字をするかもしれませんわ。
アジサイには他にも「四葩」でしたり「七変化」あるいは「八仙花」と色々な呼び方がありますわ。全部数字が入っておりますけれども「四葩」はお花の萼の形から「七変化」は色から着想を得ているのかしら。他にも沢山の呼称がありますわね。
例えば中国ではアジサイのことを刺繍の球「绣球」と表現するのですけれども、日本でも似たような言葉がありますのよ。
あまり日常では用いませんけれども「刺繍花」というのは俳句では夏の季語として採られていたりしますわ。
どこに注目するかによって用いる名前を変えてみるのも面白いかもしれませんわね。
紫陽花のブーケに触るる新婦かな
濡れるほど役者になりて四葩の花
刺繍花つゆ拭う指やはらかく
あぢさゐや黄色き傘のころころと
アジサイの零るるほどに天の海
雨紫花や黄色い傘の誇らしく
折角「雨紫花」という当て字を思いつきましたので一句作ってみましたわ。
存外良い気がいたします。
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