一日が無事に過ごせることの幸せ。
「お姉ちゃん!このマンション下の階が火事になってる。避難してと言われたけど逃げられへん!」
妹から電話が入る。
このマンションとは我が家のことだ。
昨日は、母の介護ケアマネージャーとの初顔合わせがあり妹もうちに来ていた。妹が母を見てくれているので安心して買い物をしている最中でした。
「…じゅう4階から出火したみたいや。
部屋の中、臭い…」
「14階 ?! 」 (それはアカン、真下の階やないの💦)
落ち着いて身なりを暖かく着重ねすること。
そして 幼くして亡くなった長男の写真を持ちだしして欲しいとお願いをした。
カゴに半分入った商品を戻す余裕も無く サービスカウンターへ事情を話し急いで家へ向かう。
遠目から見ても煙が上がってるのが見えた。
どうか無事でいて欲しい。。。
祈りながら自転車を走らせる。
消防車が何台も止まってる。エレベーターも止まっていた。住人が次々と階段から下り避難されている。
母の足の代わりは車椅子。車椅子で階段を下りることはできない。便利さと不便さを痛感した。
マスクをしていてもこんなに臭いがキツいものなのか、凄い。
母ひとりを置いてきたなら迷わず階段を駆け上がって家へ帰ったでしょう。しかし、幸い妹がそばにいてくれる。ここは冷静に、冷静に。
私は部屋の中にまだ人が居ることを伝え 助けを求めなければいけないと思った。
「15階に歩けない年寄りと病人が居るんです!!」
消防隊員、警察、何人もに訴えました。
まるでドラマさながらの こんな光景やセリフ 実際になると本当に必死になる。
外は寒かった。避難されていたお年寄りや病人には堪えたでしょう。とてもお気の毒でした。
消防隊員の方に出火が 4階なので多分 大丈夫だから今はこのまま様子をみよう、と言われました。
4階 ? 上を見上げ確認。
気が動転して聞き間違えたようです。
14階じゃない、、、大丈夫かもしれない……。
不謹慎かもしれませんが安堵の涙が溢れた。
しかし、かなりの燃え具合。
フロアの天井、外壁は真っ黒。
住居の中に人は居なかったのか?気になった。どうか、ご無事で。
そして 懸命な消火作業のお陰で家へ戻れた。
家の中は外で嗅いだのと同じ臭いがしていた。
2人の不安を察しました。
「怖かったね。ありがとう」
同じフロアの3軒隣の奥さんが 大丈夫? 逃げるの手伝おうか、と来てくれたそうです。
今どき近所付き合いが気薄な中、助け合いが有難くてとても嬉しかった。
もう買い物へは行かず 夕食はあるもので。
さあ食べようかという時、はたとスーパーに行く前にドラッグストアに立ち寄り買った 貼るカイロとビールを自転車の前カゴに入れ忘れたままだったのを思い出し取りに行く。
自然の冷蔵庫で冷えた 好みのブラウンビールは美味しかった。
こうして無事に家で食事ができる。
食べるものなんて何でもいいじゃないか、そう思えた。
今年もあと数日。
どうか 皆様も無事故で何事も無く過ごされますように。
とりたて佳い事がない日でも、穏やかにいつもの日常があることは幸せなことだとあらためて思う。