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“くうふく”から“こうふく”へ〜おいしい朝ごはんの作り方〜

ぱっと起きられる朝と、なかなか布団から出られない朝の違いはなんだろう。

寝不足や寒さなども考えられるが、わたしの場合それは、「楽しみな朝ごはんを用意しているかどうか」。
「あと5分だけ…」と二度寝をしそうなときも、昨日買っておいたおいしそうなパンのことを思い出した途端、朝イチとは思えない俊敏な動きで布団から飛び出すことができる。
睡眠時間よりも優先度が高いなにかがあると、たとえ眠くても「よし、起きようっ!」と思えるのだ。

でも最近、ぱっと起きられる朝には「楽しみな朝ごはん」のほかに、もう一つ必要な条件があると思い始めた。
それは、この世界で一番の調味料とも言われるアレ。そう、「空腹」だ。
どんなにおいしいごはんでも、おなかが空いていないと食べたい気持ちにならないし、おいしさも感じずらい。
逆に、おなかがペコペコなら、特別なごはんじゃなくてもごちそうに感じられる。

朝、ちゃんとおなかが空いているだけで、ぱっと起きられるだけでなく、朝ごはんがより楽しみに、よりおいしくなって、いい気分で一日を始められるのではないか。
何より、おなかを空かせることは、道具要らずでお金も手間も一切かからない。
さっそく試してみようじゃないか!

というわけで、今回の朝の工夫は「おなかを空かせて起きる」です。

 

「朝ごはんぽい食卓」に憧れて

おなかが空いている状態で起床する方法はいたってシンプル。
夜ごはんを普段よりかなり早めに済ませる、これに尽きる。
普段はだいたい20時から21時の間に食べているのだが、今回は思い切って18時には食べ終えてみる。そして、翌朝まで間食はしないと決めた。

しかし、決めたそばから不安でしかたない。
なぜなら、わたしは食後にチョコなどのおかしをつまむことが習慣になっているのだ。
果たしてそんな甘いものに甘いわたしが、朝まで空腹に耐えられるのか。
でも、今回は、空腹を乗り越えた先の幸福のためにぐっと堪えたい。

計画通り18時に夜ごはんを済ませたあと、すでに朝ごはんが待ち遠しくて、朝ごはんの準備を始めた。空腹ならなにを食べてもおいしいだろうけれど、せっかくなら、空腹を乗り越えてよかったと思えるような気分が上がる朝ごはんを食べたい。
そこでわたしは、自分のイメージする「朝ごはんぽい食卓」を再現してみた。
実は、Quu&Fuu副編集長のみなふーが「朝ごはんぽい食卓」をつくる朝ごはんごっこをしているのを見て以来、ずっとやってみたいと思っていたのだ。
(下記の画像をクリックすると、Instagramの投稿にアクセスできます)

わたしにとっての「朝ごはんぽい食卓」は、旅館の朝ごはんだ。
つやつやのごはん、お味噌汁、何層にもなった卵焼き、焼き鮭、お浸しまたは漬物という「ザ・和の朝ごはん」。

とは言っても、全部を再現するのは大変なので、夜ごはんの残りを活用して簡単に作ることに。

卵焼きを何層にも巻くのは、わたしにとってレベルが高いので潔く諦めて、卵炒めにした(諦めは肝心って素敵な言葉)。
とにかく、朝ごはんぽい雰囲気が出れば良しとする。
1枚で3つに分かれた木のトレーにおかずを盛り付け、きのことそぼろの炊き込みご飯でおにぎりを作る。お味噌汁は翌朝、食べる直前に温めてお椀によそえるところまで作っておく。
よしっ、これで「朝ごはんぽい朝ごはん」の準備はばっちりだ。

炊き込みご飯おにぎり
家のごはんにちょっと特別感を出したいときに
よく使っている木のトレー

準備はばっちりなのだが、21時頃になると、恐れていた“アレ”が襲ってきた。
お分かりだろう、最高の調味料でもあり、最大の敵でもある「空腹」だ。
まだ寝るまでにけっこう時間があるし、「翌朝まで間食はしない」と決めたばかり。
だが、食べてはいけないと思えば思うほど、余計に食べたくなる。

……ぱくっ。

 

梨を一切れ、食べちゃいました。
梨は約88%が水分だと聞くから、セーフだということにした。
水を飲んだと思おう。
しかし、梨一切れでは足りなかったようで、再びお腹が空いてきた。チョコ食べたい。でも、がまん。ひとかけなら。いや、がまんだ。
いつでも食べられる状況が良くないのだと思い、歯を磨いて、食べたくても食べられない状況をつくる作戦にでた。作戦は成功。我ながら妙案である。
23時頃、白湯を飲む。すると、空腹がちょっと落ち着いた。
そして24時、おやすみなさい。

***

こうして「18時以降は何も食べない」を(ほぼ)達成した翌朝、起きてすぐにお腹がぐう~と鳴った。お待ちかねの朝だ!
二度寝をしようかしらなんて考えることもなく起き上がり、顔を洗った。

さあさあ待っていました、「朝ごはんぽい朝ごはん」!

ランチョンマットを敷いて、買ってからあまり使っていなかった箸置きも用意した。
わあー朝ごはんぽい!昨日の夜ごはんとほぼ同じおかずなのに、「朝ごはんぽい食卓」を意識して盛り付けたおかげか、はじめて食べるような新鮮さがある。

朝ごはんぽい食卓
お品書き
食後のコーヒーと梨


夜ごはんから約10時間ぶりのごはんは、にっこりというより、顔をしかめてうなってしまうようなおいしさだった。

今までわたしは、食べすぎた日の翌朝などおなかが空いていないときも、「食べることが好きだから」という理由で朝ごはんを食べていた。でも、そうすると、食べ物を「食べている」というより「摂取している」感じがして少し虚しく感じていた。

おなかが空いてから食べることは、体が欲していることと行動が一致している気持ちよさがあった。

状況を変えなくても、自分の状態で変わること

「食べたい」をちょっとがまんして眠りについた夜、明日の朝がそれはそれは待ち遠しかった。
翌朝は、起きた瞬間から朝ごはんという楽しみが用意されていた。おなかを空かせて食べる朝ごはんは、味や香りや食感を感じるセンサーがいつもより研ぎ澄まされているのか、一口ごとに喜びが口中に、体中に、最後には心まで広がっていった。

もし、私のおなかが空いていなかったら、同じごはんを目の前にしても感動することはなかっただろうし、きっとおいしさを素通りしてしまっていただろう。

いつもよりやけにおいしいごはんを味わいながら、「目の前の状況をどう感じるかは、自分の状態次第でがらりと変わるんだな」なんてことを思った。

空腹を乗り越えた先の幸福を知ってしまったので、これからは、夜ごはんを食べるときに翌朝のおなかのことをちょっと想像する日が増えそうだ。

“くうふく”から“こうふく“へ。
階段を一つ飛ばしにジャンプするくらいの気軽さで、朝はまだまだ楽しくなる。









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