囀る鳥は羽ばたかない 第50話【切羽詰まってる】
【2022年12月05日】
「囀る鳥は羽ばたかない」50話の私的ネタバレ覚書。
前回の終わりから
どうにか和解できるように、
お互い氷解できるように、
甘々になるようにと
妄想フル回転しつつ、でも
身構えつつ待った今回。
これは…(動揺
でも
たぶんこれがここまでで一番最悪の状態
(一番・最悪って)
のような気がする。
毎回言ってるけど
次こそ、ようやく、ついに、好転する…気がする。
懲りない希望的観測ではあるけれど、
これ以上の悪い状態にはならないと思うんだけどな。
ていうくらい50話での矢代の状態は
どん底にして限界。
とか思ってるとさらにってこと多いからなあ!
ここんとこ毎回かも。つらい;;
あっちこっちで大きく動き出した。
言いたいこといっぱい。
※毎度のお約束:
以下がっつりネタバレ含みます。
登場人物の心情とかストーリー解釈とかは
あくまで個人の見解です。
******
何もかも
壊したくなる
******
壊してしまえよ、こんな状況。
ソファで寝ると言った矢代を
お姫様抱っこでベッドに運び、
抑えつけてシャツの隙間に指を入れた百目鬼。
怯えた目の矢代。
私は百目鬼がそこから先に進むとは思ってなかった。
(浮かれた妄想に突っ走る前章参照)
それはたぶん矢代も。
「寝る」(性的な意味でなく)と言えば
百目鬼は寝かせてくれていた。
でもそれは4年前の百目鬼。
こうして欲しかったから
俺を選んだんですよね
繰り返される、売り言葉に買い言葉。
嫌がる矢代をまた指で攻める。
感じないはずの矢代の身体が、快感で震える。
感じる矢代がとんでもなく綺麗でエロいのに
百目鬼は平気なの??
無表情のまま指で言葉で容赦なく攻める百目鬼の目が
矢代の手首に残る痕をとらえる。
やっぱり好きなんですね
こういうのが
ネクタイを外して矢代の腕を縛る百目鬼。
「百目鬼が矢代に絶対しないこと」と
私が信じて疑わなかったことを次々実行しちゃうけど
これは髪グイよりショックだった。
「縛る」を百目鬼がするなんて。
本気で嫌がる矢代に
(井波にはさせたのに)どうして自分だと拒むのか、
好きなんですよね、と繰り返し、
それとも優しくされたいんですか
そう聞かれて矢代が
優しくされたい、と言うわけないでしょ。
優しくされたくても。
百目鬼はさらに指で攻め立て
勃たないはずの矢代は立派に勃起し
指だけでまた達してしまう。
強引にいかされた矢代の脳裏に浮かんだのは
はじめての膝枕。
まともな恋愛なんてできるわけない、と自虐的に語り
百目鬼のやりたくてしょうがないという顔が見てみたいと笑い
寝る、と言ってそのまま膝枕で眠りについたあの夜。
あの頃はたしかに
どうでもいいセックスしかしていなかった。
俺に抱かれたいと思うのか、と聞く百目鬼には
優しそうな普通のセックスしそうだから嫌だと答えた。
今、矢代はその
百目鬼との優しくて普通のセックスを求めてる。
セックス以前かも。何度も交わした熱いキス。
百目鬼が与えてくるのは
あの頃自分がそれでいいと思っていた感情なしの性行為。
しかも一方的。百目鬼が脱ぐのは手袋だけ。
言われたくない言葉でされたくない行為で傷つけられる。
自分が蒔いた種なんだけれど。
翌朝、七原来訪。
なぜかいる百目鬼、そして素っ裸で出てくる矢代に
感情をかき乱される七原w
そうだろうなとは思っていたけど
七原ってホント、大事なこと何も聞かされてないのね。
昔も、今も。
ここで百目鬼が七原に
「セックスならしていませんよ」と
しれっと言ったことにも地味にショック。
そんなセリフを軽く言うんだ…
入れ違いに百目鬼が出かけると言う。
桜一家ケツ持ちのクラブで盗難?奥山組関与?
その辺を確認にみんなでクラブに。
出てきたママさんの「ちから」呼び
百目鬼を下の名前で呼ぶ人初めて出てきた。
その破壊力。
数人の男と黒服が揉めてる隙に300万ほど盗まれた。
相手は奥山組とは名乗っていない。
でも店を知ってるふうだった。
→ 以前桜一家にいた人 → 奥山??
もしママさんが百目鬼に連絡入れたら
百目鬼は駆け付けた?
あんな状態にした矢代を置いて?
そもそもなんでママは百目鬼を「ちから」呼び?
まさかとは思うけど…高校時代の元カノだったりする?
いやでも百目鬼は敬語だし…うーむ
(絶対に「今の百目鬼の女」ではないという前提の考察)
この「ちから」呼びさえなかったら
ママが奥山組と繋がっていて、百目鬼は監視のために近づいている、で、ついでに料理も習ってる(料理習ってる説押し)とストレートに推測できたんだけど。
店を出たところで七原がいらんこと言う。
「百目鬼とあのママできてるらしい」
ひそひそと話し込む百目鬼とママをみつめる矢代。
分厚いステーキを前に
百目鬼と神谷が事件を考察する。
内通者の疑い、ママへの気遣い。
内通者についてママを問いたださなかった百目鬼に
お優しいことで、と神谷が嫌味を言うと
神谷さんにも優しいつもりですが、と返す。
そんな会話を聞きながら
矢代は昨夜の百目鬼の言葉を思い出す。
優しくされたいんですか
クラブのママにも神谷にすら優しい百目鬼が
自分にだけ優しくない。
こどもみたいな感情だけど
これがとどめだった。
矢代をかろうじて保たせていた最後の糸が
ふっつり切れた。
便所、と言って席を立った矢代が
店を出て向かった先は
城戸の部屋。
入るなり城戸のモノ(小さくてびっくりよ)をしゃぶり
したい…っ
犯せよ昔みたいに
切羽詰まってんだ
早く
切羽詰まってるのは身体じゃない。
もう自力で制御不可能なまでにずたずたの心。
勃ってもねえくせに
またがれ、と言って矢代が脱ぎかけると
やっぱり咥えろと言って頭を抑えつける。
物みてえに扱われるの好きだろ
その時
黒手袋が城戸を片手でぶん投げた。
ぶん投げられた城戸の姿がとてもイイんだ。
矢代がうつろな目で百目鬼をとらえても
その表情がはっきり見えない。
首に浮き出た血管がどれほどの怒りか雄弁に語る。
ありえないほどの力で
腕に指を食い込ませて矢代を引っ張り上げ
怒りを隠さない声で言う。
俺が犯せば満足ですか
******
矢代は百目鬼があのママを優しく抱いてると思い込んでる。
だって七原がママとデキてるなんて言っちゃったし。
綱川や仁姫に「女はいない」と言ってることなんて知らないし。
百目鬼は矢代が今も誰とでもすると思い込んでる。
だって井波と会ってるし城戸にあんなことしてたし。
この4年間インポの不感症だなんて知らないし。
私は百目鬼大好きだけど
今回は「変わり過ぎた百目鬼」大炸裂で
前半はもうどうしていいかわからず
脱力と言うか
もう私の百目鬼は戻ってこないかもしれないと
絶望したというか
2巻から矢代に共感し気が気じゃない私は
矢代の絶望にもシンクロして
ストレスマッハでおなかこわしました。
とにかく百目鬼の物言い、
言葉選びとかタイミングとかすべて最悪の選択。
ふだん必要最小限ではいいいえくらいしかしゃべらない男が
矢代への言葉攻めになると饒舌(百目鬼比)。
おそらく桜一家にいる4年分以上しゃべっているのでは。
確認のようで上からな決めつけ、そして
矢代が絶対素直に答えなさそうな質問形。
あなたのことは知ってる、と言ってるけど
今の矢代をまったく知らない百目鬼。
追い詰め方がなんていうか、見当違いと言うか。
今回もまた井波が絡んだ後。
やっぱり百目鬼の着火ポイントは井波。
それにしたってその後自分を選んでくれた矢代に
その態度はどうなのか。
これ前も書いたかもだけど
「もしも井波が絡んでなかったら」の
百目鬼の矢代攻略を見てみたかったなあ。
こんな状況、ホントは百目鬼も望んでないでしょうよ。
ここまでのひどい物言いも、たとえば内容同じで
もっとおだやかに話すつもりだったとか…
(百目鬼依怙贔屓考察
でも終盤、
席を立った矢代をおそらくすぐに追跡するとか
城戸を引きはがして連れ去るとか
その一連の行動がまったく冷静じゃないところに
とてつもない嫉妬を感じました。
矢代の身体にほかの男がした、あるいはしたであろう行為を自分で上書きする。
冷静に冷酷に攻め立ててるように見えて、実は内面煮えたぎってる。
その歪んだ激烈な嫉妬と独占欲をどうにか非暴力的にできまいか。
優しくされたい、でも言えない。
言わなくても優しくしてくれると思っていた相手に
「自分だけ」優しくされない。
百目鬼には女がいて
もう自分に対しては負の感情しかないと矢代は思ってるのかも。
怒り、恨み、軽蔑。
所詮自分は…優しくされたり愛情を受けたりする価値のない男。
矢代の自己肯定感の低さが自分を壊す。
どうしていいかわからない自分をどうにかするには
なんの感情も抱かないどうでもいい男に
どうでもいい扱いを受けるしか思い浮かばなかった。
高校生の頃、影山に対する思いを持て余し
その辺の男をひっかけて、感情をリセットしようとしていた。
同じことの繰り返し。
どうでもいい男に身も心も痛めつけられたら
「百目鬼以前」の自分を取り戻せるとでも思った?
城戸の隠れ家に行く途中の描写が
矢代が何度も見た夢に似ている。
街をひとり歩く矢代、
追いかけて引き止めてくれるかも、と
思っていたのか無意識か、そんな後ろ髪。
切羽詰まってるからしたい、
と言葉にしてしまうほど矢代は限界だった。
20年前の矢代はきっと、
ふらりと城戸や竜崎の前に現れては
物みたいに扱ってよ、好きにしてよと、何の感情もなく
ただただやらせていたんだろう。
その頃を思い出して城戸は物のように扱った。
よかったよ、挿入未遂で済んだよ。
どうでもいい男・城戸
小さいわ早いわ…態度だけはでかいわ…
もう自分に良い感情を持ってない(と思ってる)男が
自分を追いかけてきたこと。
もしかしたら一瞬うれしかったかも。
でも激しい怒りで力の加減も出来ない状態の重戦車が城戸を放り投げ、
指が食い込むほど強く腕をつかみ
自分を連れ去ろうとしている。
呆然、困惑、怯え。
井波や城戸にどんな目に遭わされてもどうでもいい。
百目鬼には…嫌よね。
この時、矢代が見上げた百目鬼の顔も
夢で見た「顔が思い出せない百目鬼」と構図が同じなのは
矢代の心情なのかしら。
夢と現実がシンクロ。
現実で掴まれた腕は振りほどけない。
切羽詰まってる。
勃ってない。
このふたつの超重要キーワードを
百目鬼はもちろん聞いていたよね。
矢代が城戸に言った「犯せよ」
それを矢代に投げつけたんだから。
ただしたい、じゃない。
切羽詰まってるのはなぜか。
したいと言いながら勃起してないのはなぜか。
あの阿修羅状態の百目鬼が聞いていたとしても
どういうことか考えられる余裕はないか。
首筋に血管浮き出るほど頭に血が昇ってるからなあ。
違和感に気付けてたら
「俺が犯せば満足か」なんて言わないよね。
上記の意味を問うとかね。
まあ百目鬼ブチ切れてるけど
矢代のその行動はあなたのせいだからね!?
矢代も自分が限界とわかってる。
「切羽詰まってる」って言っちゃったし。
本当はどうしたいのか。
答えはもう出てるでしょ。
やっと矢代の「再生」の時が来たと信じたい。
******
次号は休載。
単行本準備かなー。
ここで切られて4ヶ月待つ気持ち。
……4ヶ月かな?いや4ヶ月だ、それ以上はない(言霊
まあなんですか、この状況、手っ取り早い一発逆転としては
ミスター必要悪・おしゃべり井波でしょうかね。
矢代を引きずってるところに現れるか電話してくるか、
ベタでもいい。井波再登場の意義はこのためと思ってる。
矢代が自ら身体のことを打ち明けるとは思えないけど、
もうあの、打ち明けちゃっていいのよ。
なんなら甘え倒してもいいよ。
「矢代はそんなこと言わない」とか私は思わないよ!
井波ぺらぺらであれ矢代観念して吐露であれ
とにかく矢代のインポ・不感症(対百目鬼除く)を
百目鬼が知るまでは
身体を重ねてほしくないかな。
百目鬼が今の矢代を正しく知ったうえで、
まずは優しく抱きしめてキスしてほしい。
良すぎる反応は自分にだけ、と百目鬼がわからないとね。
そしてこれまでの態度を猛省して謝罪してからね!
最後に
毎回言う、何度でも言う、
なんやかんやで単行本2冊分、
百目鬼のモノローグがないのがホントにしんどくて。
私が大好きな百目鬼の、重要事項のひとつなんですモノローグ。
単純に、4年前の百目鬼のモノローグが好き、というのも大きいですが。
矢代に共感してしまっているわたくし、
つまり私も限界なんですよ。
最推しの百目鬼、その本心をモノローグで知りたい。