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囀る鳥は羽ばたかない 8巻【身も心も】

【2023年03月27日】

8巻の各書店別特典が
あまりにも素晴らしくて
特典の世界から8巻本体になかなか戻ってこれませんでした。
いやもうホント…

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四年ぶりに再会した矢代と百目鬼だが、
カタギに戻っているとばかり思っていた百目鬼は、
組長である綱川の信頼を得て、桜一家の構成員になっていた。
矢代に従順だった百目鬼は過去に消え、
今では桜一家でも一目置かれる存在だ。
偶然にも、共に手形を持って消えた男・城戸を探していた
ふたりは一緒に動くことになるのだが、
矢代が以前と変わらず男に抱かれていることを知った百目鬼は、
誰でもいいなら自分で我慢しろと迫り――!?

(作品紹介)

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「囀る鳥は羽ばたかない」8巻の私的ネタバレ覚書。

本誌で1話ずつ読んでは
打ちひしがれ、精神的に沈み込み
その都度しんどくて、次は、次こそはふたりが、と妄想してはまた打ちひしがれて…と繰り返していた44話~50話。。
だからまとめて読んだらさらに倍につらくてきっと気力体力ごっそり持ってかれると思い
しばらく各店舗特典の世界にどっぷり浸かっていたんですけど
今回の特典3社ともほんっとに最高で
陽の気力が漲ったところで
意を決して8巻を読みました。

※特典の話はパラレルじゃなく「その後」。
 近い将来のふたりの話。
 そう思えば現状も耐えられる。
 逆に言うと、そうじゃなかったら耐えられない。

こんなにつらく感じるのは私が矢代に「いわれなき共感」を抱いているからかも。
感じ方は人それぞれですしね。私はつらい。
でも、「8巻」としてまとめて読むと
単話でじりじり読んでその都度落ち込んでいた時とは違って
見えてくるものもあったり、思うところも変わったり。


※毎度のお約束:
 以下がっつりネタバレ含みます。
 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは
 あくまで個人の見解です。

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人は変わるのか、変われるのか、変わらないのか。
7巻から始まった「4年後」の物語の命題。

枯れた雰囲気と妖艶さを併せ持つ奇跡の40歳・矢代。
4年前から変わらないように見えるけれど。

男前に磨きがかかり、その鍛え上げられた肉体と無骨な雰囲気に女が群がる黒ずくめ・百目鬼。
朴訥さが消え、すっかり変わったように見えるけれど。


8巻はそのメインテーマを語りつつ、もうひとつテーマが。
私が感じた印象をものすごくざっくり、一言でまとめると
「矢代の再生への道程」

1話ごとの覚書でくどいほど繰り返していた
「百目鬼のモノローグがない」
「百目鬼のモノローグくれくれ」
7・8巻とまるまる2冊、つまり4年後の百目鬼の心情が
まったく語られないままの状況が続いているけれど
8巻を読んでようやく
今、メインが「矢代のターン」だからかも、と気付けた。
遅いですか。だってそれどころじゃなかったから~。

8巻では矢代が心の内をモノローグで知らせてくれる。
これがいろんな意味で非常につらくて精神的にも身体的にもかなりきつかった。
4年間のこと、百目鬼への思い。

4年ぶりに再会し、あの頃とは違う百目鬼に対することで
矢代はついに本当の自分を受け入れ、見つめなおす。
かつては自分自身をも傍観していた矢代が、自分に向き合い、本音をモノローグで語る。
そう、以前はモノローグすら嘘つきだったのに。

一方で百目鬼の矢代への言動。
何も語らないまま無表情で冷酷とも取れる態度と物言いで矢代を追い詰め、壊していく。
でも本当に変わったとは思えないし、思いたくない。
ただ単に冷酷なわけでもなさそうな。
揺れる微妙な変化に神谷が気付いてるし。
百目鬼は矢代の側に戻り、矢代を手に入れるために考え抜いてそういう態度をとっている、と思って読み進めていた。
では百目鬼はなにをどう考え抜いたんだろう?


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……と、

文字を打つ手が乗りに乗ったり止まったりして
ちんたら書き連ね書き直していくうちに
どうもこれはやっぱり
矢代と百目鬼それぞれをもっと読み込んで深読みして別枠でまとめるほうがいいなと思いまして。
ていうかそもそも「もっかいちゃんとまとめたい」と3ヶ月以上も前につぶやいてるんですよね私。
言霊信者のくせに言うだけ番長兼任。

なんせ矢代についての深読みが厄介。
「4年前百目鬼によって鎧が壊された矢代は百目鬼への想いを自覚した、でも」
みたいな感じでは語り切れない深層。
でも矢代サイドを読み込まないと百目鬼の行動原理に触れられない。

48話の時点で一度ふたりのことをまとめたんですけど
その後の49・50話を読むとまた思うところが変わってきていてさらに8巻としてまとめて読むとまた変わって。

もたもたしてたらもうすぐ51話が来るんですよ!
ものすごく悩んだ末、ふたりのまとめは51話を待って、51話もまとめに入れようと。
おそらく51話は物語がとてつもなく大きく動くと思われるので、
本当はその前に一旦まとめたかったんですけども。


というわけで
矢代と百目鬼のまとめを後日がんばりたいのでここでは割愛。

このあとはふたり以外のことなど。

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周辺の人々。

神谷は4年後のキーパーソン。
目端が利く上、思った以上に気ぃ遣い。
百目鬼を心配したりかばったりなかなかいい男。
その神谷が、百目鬼に女はいない、モテるけどなびかないと証言している。
ほかの組員が何と言おうと、そばに張り付いて監視している神谷が言うなら間違いない。
百目鬼本人も女がいると言ったことは一度もない。
矢代にいるんだろ、と言われて返した言葉は「よくわかりますね」
いるとは言ってないっ(だだっこ)
売り言葉に買い言葉だもん。下手くそな嘘だもんね。
私は桜一家に百目鬼自身が言い続ける「女はいません」と
神谷の「女になびかない」を信じてる。

7巻の覚書で
桜一家は武闘派なんだけど組員はおだやかでほのぼのしてる
と第一印象をつづったけれど
そんなことなかったわ。やっぱり極道だったわ。
そらそうよね。
49話の覚書でも毒づきましたが
私は綱川に良い印象を持っておらず
4年もあずかっている男がよくわからないとか
わからないけど戦力として欲しいとか
だから神谷に様子をうかがわせるとか
なんかもう…もやもや
奥山組関連に対してもどうにも稚拙。
そばにいる百目鬼のことすらよくわかっていない男が
他所の組のことをきちんと把握してるか疑問。
賛同を得られる気がしないけど
わたし的には井波の次に悪印象(それって相当では)

七原の甘さも所々に描かれており。
そりゃあ矢代もそばにおいてはいるけれど
大事なことは伝えないよね、みたいな。
七原がちゃんとそばについていたら井波にレイプされることもなかったのよ。
重罪だからね。マジで。マジはマジだから。
そしてそのことも矢代は七原に言わない。
6巻の書き下ろし、矢代についての洞察はおおっと思ったんですけどね。
そこに気付けたならその先も考えてほしかったのにな。
杉本から井波について何も聞いてないのかな。そういうところもね。

井波は
虫唾が走るヒールであり
おそらく矢代も井波を「どうでもいい人間」として見ているからこその依存なので
いらなくなれば捨てるだろうとは思っています。前の刑事のように。
たとえ4年後の矢代の負の依存先が井波ただひとりだとしても、その理由も含めて私は絶対に許さないよ。
早く百目鬼に伝えてよ、井波が知る、矢代の身体の現状を。
それだけが井波の存在意義。
(この辺、井波の動向が今後の甘々展開をあきらめない私の最後の望みっぽくなってるところもイラつくw)

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表紙は矢代、明るめのグレー基調。
7巻と並べると矢代と百目鬼が絶妙にいいんだ。
7巻が右なら矢代を見据える百目鬼、目をそらす矢代。
8巻が右なら背中を向けて思案する百目鬼、様子をうかがう矢代。

帯には「あいつはもう番犬じゃない」
7巻の帯は「俺はもうあなたの部下じゃない」だったし
7・8巻はなにかと対になってるのね。
部下じゃなければ番犬でもない
…ふうぅん?(個人的に都合よく解釈

本誌掲載時と単行本の修正・加筆箇所を調べてついったーとかに挙げてくれる方がいて
ありがたく読みながら見比べておお~ってなってますけど
わたくしずっと気になっていたのが
48話の百目鬼のポケットチーフ。
いきなり出現して、49話には元通り消えてたんですよね。
単行本で修正されるかな?と思ってたらそのまま。
あのポケットチーフは一体!?

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そんなこんなで今週末ついに51話ですけども
…もし、
いいタイミングで井波が矢代の身体についてペラるとか
あるいは5巻のように
追い詰められた矢代が自分の身体の現状、百目鬼への想いを語るとかして
百目鬼が矢代の変化を受け入れて抱きしめたりしたら
私はもう、目とか腫れまくって人相変わるほど号泣しそう。
むしろ人相変えてほしいですふたりに。

でもその矢代の変化を知った時、
そうとは知らずに接した百目鬼もまた傷つきそうで不安ではあります。

状況はここがどん底
でもこのあとふたりが再生し幸せを知る、
それもふたりで、と信じています。
甘々妄想はどんどん言うよ!


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さて
各書店特典の2P漫画について。
本編がっつりネタバレしといてなんですけど
特典なので内容には触れないほうがいいですよね。
でもすっごく語りたい。
なんならひとコマひとコマ詳細に語りたい。

上記と重複しますが
「パラレルです」との注意書きがないので
近い未来のふたりの話と認識しました!!
アニメイトバージョンとホーリンバージョンは夢落ち
(アニメイトには明記されてないけどまあ夢落ちとして)
コミコミバージョンは日常のひとコマ。
これらから導き出される結論はひとつ、
近い将来、ふたりは一緒に住んで
毎晩寄り添って寝てるんですね!

お揃いの黒スウェットはいちゃってさ!
※夏場の私は百目鬼とお揃いの恰好で寝てます
 なんかうれしいw

どれもツボで大好きですが
アニメイトでふたりの本体がしたことなさそうな表情に腹を抱え
コミコミでの穏やかで平和で甘々な日常に身もだえし
ホーリンでの本音で泣きそうになりました。
(読んだ順)

それと
定型文になるほど渇望していた
百目鬼のモノローグにここで出会えて私、私…
この勢いのまま本編でも!
(あきらめない心)

これらの特典漫画が本編の未来と思えば
しんどい本編にも気をしっかり持って向き合えます。
ホントつらいけどでもでもいずれは、っていう。
ありがとうございます本当にありがとうございます。

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