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囀る鳥は羽ばたかない 第54話【知らないこと】

【2023年09月30日】

「囀る鳥は羽ばたかない」54話の私的ネタバレ覚書。

53話で大きく動き出した矢代と百目鬼の心情。
4年前からの呪い(それを人は恋って言うのよ)で沈む矢代、
嫉妬と独占欲を隠し切れなくなってきた百目鬼。

そしてついにあいつが、ドぐされ必要悪・井波が
再登場の理由を全うする時が来る!
いい方向にも悪い方向にもドキドキして待ってました54話。

扉絵の矢代は
百目鬼が誰にも見せたくない前髪バージョン。
色気が漂い、儚くもあり、でも鋭さもあり。

※毎度の注意事項:
 以下がっつりネタバレ含みます。
 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは
 あくまで個人の感想・妄想です。

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お互い、
知らないことがある

******

そうね、知らないこと多すぎて螺旋状にすれ違ってるのよね。
でも「知らないことがある」ことに気付くってすごいこと。

53話の煽り文「本当に望んでいたものは…」が
47話のあおり文「欲しいものは 何なのか――」
と対になっているというようなことを前回書いたけど
今回の煽り文もこれまでと連動している(深読み)

矢代サイドでいうと46話の煽り文
「あいつのことは理解(わか)っているつもりだったのに…」
からのこれ。
矢代は百目鬼のことがわからなくなっていた。
自分が知ってる百目鬼とは別人のよう。
でも矢代は、自分が百目鬼の4年間を何も知らないと自覚している。

百目鬼サイドは、50話でのセリフ
「知ってますよ それなりに あなたのことは」
からのこれ。
4年前のあれこれから、考え抜いた矢代攻略。
触れて、攻めて、やっぱりこの人は変わらないと決め付けた。
でも目のこと、インポのこと、井波にはひとつも情報を与えていないこと。
知ってるつもりで、実は4年後の矢代を何も知らない。

******

クラブの強盗事件、犯人は店の黒服。
神谷がボコっても口を割らなかったが拳銃に屈し、
「何でも喋ります!!」と言ったところで組からまた別の隠し金庫が荒らされたとの連絡が。
黒服を連れて店を出たところでママ(泉さんですって)が神谷に許しを請う。
「脅されてやったことだろうから」
…誰に?まるでなにか知ってる口ぶり。

神谷がママに「彼氏に頼んだら?」というと「え?」
百目鬼の名前を出されたママの表情が微妙。
その後のやり取りを見ても、このママが百目鬼と男女の関係とは思えない。
いや百目鬼激推しの偏見とかじゃなくね。
浮かない表情、はっきりさせない物言い。
ふーよかった想像通りだったよママは彼女じゃなかった(断定)
何度も何度も繰り返すけど
私は百目鬼に女はいない・ママはフェイク説過激派ですからね!
だからどうしたって話ですけど。
とにかく百目鬼とママは男女の仲ではなさそう。
でもママは今の百目鬼の何かを知っている。まだ明かされていない何か。

去り際の神谷に「優しすぎ、向いてない」と言われうつろな表情に。
何に向いてないかはともかく、このママといい矢代も百目鬼も、もっと言うと天羽さんも、
「向いてないと言われながら今の場所にいる人」が多いな!


一方、矢代は七原と見張りを続けていたが
怪しい片耳ピアスの店員がどこかに電話をしている姿に気付く。
店を出てすぐに七原に盾になるように命じ、その意味がわからない七原。
怪しい店員にも何の注意も払ってないし、
七原はホント…そういうとこだよ…
(これももはや定型文)
店員からの連絡を受けたらしい輩がふたり、矢代と七原に突っかかる。
でも相手が悪すぎる。このふたり10年以上組にいた本物だからね。
しかも幹部とボクサー崩れ。後者は崩れすぎてなまりまくって腹も出てるらしいけど!
行ってくださいここは俺が!と言う七原に
わかった じゃ
とあっさりビルを出る矢代。躊躇なく置いていくw
もちろん逃げるための車を取りに行ったわけだけど。

その矢代の姿を、向かいのビルから甲斐が見ていた。

矢代がビルに車で突っ込んでいかなくてホントよかった。
例によって車はぼこぼこだけど。
七原のスーツは輩たちが振り回したナイフでズタズタ。
つまり相手の攻撃をひょいひょいかわしたのね。刺されはしない程度に。
4年前、松原組の連中とやりあったときは刺されたりしてひどい怪我負ってましたね七原。
プロとアマ、って言い方は違うかもだけど、今回襲ってきたふたりはおそらく半グレ、奥山組の組員ではない感じかな。

山川を逃がしそうなこと、身バレ、七原が心配してるけど矢代はわりと楽観的。
でも甲斐に見られていたし、巻き込まれるのは確実。
輩たちに襲われたとき顔が割れてる百目鬼がいなくてよかった、と矢代が言うと
七原が「あいつどこで油売ってんすか」


百目鬼は油じゃなく
井波に喧嘩を売りに行っていた。

どこかの地下駐車場で待ち合わせする、見た目も性根もヤクザな警察官と激怒を無表情に隠して近づくヤクザ(預かり)
百目鬼の「本題」は、矢代が依頼した写真の男の情報=甲斐、のことではなく、
井波が隠し撮りした動画。

SDカードをチラつかせながら井波は百目鬼を煽る。
なんで桜一家に?なんでヤクザに?
百目鬼が百目鬼らしい淡々とした最小限の説明で終わらせると
問題の動画再生中のスマホを、百目鬼に見せつける。
映っているのは井波と矢代。正常位なのが意外。
見せた瞬間殴られ、スマホを踏み砕かれる。
井波に対して一発で抑えられた重戦車の自制心をほめてあげたい。

二度と会うな
ヒマつぶしにあの人を使うのはやめろ


百目鬼が井波とサシで会った最大の目的はこれ。
矢代とコイツを金輪際会わせないこと。
襟首つかんで凄む百目鬼に井波が自分の性癖を吐く。

あれはヒマつぶしよりは楽しめる
勃たねえ奴とヤルなんてレイプだろ
たまんねーな


レイプが好き。
てことはこれまでも、女性をレイプしてきたんだろうか。
それともさすがに実行はしてないけど、したいとは常々思っていたってことかな。

矢代でその欲求を満たしてるみたいな。
ゲスでクズだとはわかっていたけど、思いっきり犯罪者の性癖だった。
吐き気がするけどそれはおいといて。

井波の言葉に百目鬼は表情を変えたが、
ひっかかったのは「レイプ」よりも
「勃たない」
矢代さんが、勃たない…?

…なにを言ってる

井波は百目鬼が目の前で矢代をかっさらっていった後、矢代とセックスをしたと思っている。
そして勃たない矢代で楽しんだと思い込んでいる。自分と同様に。

お前とヤッた後物足りなくて俺のところに来た
ちゃんと満足させてやれよ

もう使いモンに
ならねえんだからよ


井波のセリフに百目鬼の表情が固まる――

******

井波再登場の意味。
「百目鬼に矢代の現状を伝える」という重要な役目をついに果たした。

物足りないのも満足させてないのも井波お前だ
という当たり前のツッコミはともかく
矢代の不能(百目鬼以外)が発覚した47話から
ずーーーっと言い続けてきた
「矢代の今の状態を百目鬼が知るとしたら井波」
がここで!!

前回の流れから、百目鬼は映像でそれを知るのかと思っていたけど
映像はチラ見でボカパキでしたね。
で、結局、井波がペラった。

井波ってバカだよなあとは思っていたけど
想像をはるかに超えるバカだな?
4年前悪態ついてめちゃくちゃにボコられたの忘れたの?
忘れるわけない、その恨みもあって嫌がらせを、っていうのなら
そんな暴力では勝ち目のない男とふたりで会うとかふつうしないでしょ。
てっきり罠張って同僚が何人か潜んでて、百目鬼の怒りを煽って手を出したら確保する気でいるのかも、とかネガティブな想像していた私は井波を買いかぶり過ぎていたのか。

ふたりきりで会って
動画見せびらかして挑発して
見せた瞬間殴られてスマホ破壊されて
(あぁってめえやめろ で声出して笑ったわ)
今回最大の山場:矢代の身体の秘密ぺらぺら
なにこの爽快感!!

このあと隠れていた援軍が出てきて百目鬼を確保、ということもなさそう。
同僚とかいたら自分の顔が出てるハメ撮り見せたり「レイプが好き」みたいなことも言ったりしないでしょうから。
いくら井波でも。たぶん。

「クラウド知らねーのか」とか言ってるけど
自分の顔がっつり映ってて漏洩したら自分の身が深刻に危ういやつをクラウドに保存しているわけよね。
危ういけど大事に保存して、スマホで持ち歩いて繰り返し見たりして…
やっぱり井波も矢代に魅了された男のひとりってことかな?

で、井波は百目鬼に動画見せてなにがしたかったの?
挑発しておもしろがりたかっただけ?
百目鬼が転落していく様を見るのは楽しいと矢代に言っていたけど
本当にそれだけ?

まあなんでもいい。
もう役目を終えた井波には、これで退場でしょう。
退場…百目鬼の手を井波の血で汚して欲しくはないので
(今回殴って汚れたけど)
ここは鮫鯨さんたちとか甘栗の出番かなと。
単純に再登場してほしいんだ彼らに!

(殴られた拍子にパスワードを忘れてクラウドにアクセスできなくなりますように、と思ったけど、この世から退場するならどうでもいっか~)

******

桜一家ケツ持ちクラブのママ。
敵対する奥山組側の人間である可能性は捨てきれない。
むしろ黒服をかばったことで、より疑惑が濃くなっている。
でも神谷に百目鬼との関係を濁すあたり、百目鬼と男女の関係ではなくともなにかはあるんだろうなと。
「(自分の部屋に百目鬼が来ていることを)広げられると百目鬼に迷惑がかかる」ということは
…やっぱり料理を教えてる…(しつこくこの説推し

髪を下ろした私服のママ、意外と若いと思った。
百目鬼より年上、矢代のチョイ下くらいかと思っていたけど、百目鬼と同じくらいかも。
50話の覚書でちらっと書いたけど、やっぱりこの人高校時代の元カノだったり…?
ちから呼びは当時の名残とか。
百目鬼が敬語だから違うかーと思ったけど、
先輩だったとか。百目鬼年上キラーだし。


桜一家はまた隠し金庫を荒らされた。
捜索能力はないわ金の管理は杜撰だわ
ケツ持ちのクラブも人事がなってないわ
どうなってんの桜一家。
(回を追うごとにどんどん悪化する私の桜一家への評価と感情)


矢代が怪しい店員の怪しい動きにちゃんと気づいていたのはさすが。
店を出たら絡まれるだろうと予想するあたりもさすが。
七原…w
腕や体がなまってても得物持ったふたりを相手に戦えたのは昔取った杵柄、体が覚えてるってやつですか。
今後は日々筋トレで鍛え直しといてね。
「腹の出たお前に用はない」って言われたしね。
矢代さん数時間前にバキバキに割れた腹筋見てるから尚更…


さて
そんなわけで、ついに百目鬼は井波から矢代の今の身体の状態を聞いたわけですが
百目鬼の脳内は大混乱中なのでは。

勃たない。使い物にならない。
井波が噓を言っているようにも見えない。
でも百目鬼が触れた時、確かにしっかり勃起した。
感じて、よがって、何度も達していた。
どういうこと?

再会後、はじめて触れようとした時「どうせ…」とは言っていた。
すぐに果てたのも意外だった。
(放出したものも妙に濃いとか匂いとか、百目鬼が知るそれとは違っていたのかも。じっと見て、「たまってたんですか」と問うくらいに)

百目鬼は城戸の言葉を覚えているだろうか。
「勃ってもねえくせに」
怒りと嫉妬でそれどころではなかった?
でも聞いていたのなら。

4年前から変わっていないと思っていた。
今も誰とでもしていると思っていた。
どうでもいい男たちを欲しがり
誰にも触らせたくない身体を触らせていると。
だからひどい言葉をぶつけ、ひどい扱いをした。
それが矢代の傍にいるための条件と思っていたから。

矢代の身体が、自分にだけ反応すると気づける?
それを百目鬼はどう解釈する?
自分が4年前、矢代の身体を抱きながら絞り出した言葉と連動できる?

や、百目鬼もただの筋肉ゴリラじゃない。
「矢代がトイレと言って席を立つときは誰かとコンタクトを取る時」
は学習したし。知恵のついたゴリラだから(矢代談)
正解にたどり着けるはず。百目鬼を信じる。

ただ、すべて理解した時、百目鬼大丈夫?
これまでの自分の矢代への言動、顧みて後悔で壊れてしまったりしないよね?


矢代が知らない百目鬼のこと。
百目鬼関連については、矢代だけじゃなく私も知らない、知りたいことばかり。
まあ女はいないけど(断言
百目鬼のことは百目鬼しか知らないわけで、
百目鬼が矢代の今を理解したうえで百目鬼自身の口から伝えるしかないのかも。
あっ、あるいはママ?


イカゴク甲斐に見つかった矢代に危機が迫っている。
まずは百目鬼、早く矢代の元に戻って。
矢代を守って。
そして今度こそ、ちゃんと話し合ってほしい。
売り言葉に買い言葉禁止で!

…その売り言葉に買い言葉も、おそらくはふたりとも自己肯定力が底辺だからで。
伝えられない本音を隠す強がり。
百目鬼に触れられて4年ぶりに身体が目覚めた矢代が、
治ったのかそれともと井波で試すためだけに会いに行ったことを
「百目鬼では物足りなかった、だから俺に会いに来た」
と思い込める井波のその無駄に高い自己肯定力を、
ほんの少しでいいから百目鬼と矢代に分けてほしいわ。

******

前回から引き続き今回も前のめりで読了、ワクワクする!
危機的状況ではあるんだけど、それでも。
矢代(と七原)が拉致られたりせず無事でよかった。
百目鬼が激情に我を忘れて井波をボコり過ぎたりしなくてよかった。
そして百目鬼が矢代の最大の秘密を知ることに。


次号の予告にもお名前載ってたし(ホントにうれしい)
ごはん食べて、元気で生き抜いて、日々読み返し、続きを待つ。
「お互いの知らないこと」を知って変わっていくふたりを早く見たい。

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