太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.35話 ジンバブAからCOOOL. B
「きみたちは幽霊なのか?」
ぼくは暗闇の中にいるであろう2人の生命と思われる存在に訊いた。
「……」
どうしたんだろう。
「……」
おい、あんたが言えよ、みたいになっているんだろうか……
「笑ってしもうた。幽霊な……」
「バカにするのも大概になさい。自分より高位の存在に失礼だと思わないの、小僧」
俺は小僧だ。幽霊ではないのだろうか。
「悪かった……ただ俺は……」
「謝るのがはやいのう。もう少しおのことしてのぷらいどを持つがよいな。おお、今は性別で人を分けてはならぬと人の世は定義しておるのかの」
「そんなこと、知ってんの」
「ずっと、ここにいるわけじゃないから喃」
俺は今でもこの人(?)らを幽霊だと思っているが、現代のことについてきちんと情報をアップグレードしているのだろうか。
「小僧、お前のいうことにも一理あるかも知れないと思ってよ」
「はぁ……」
「何ため息ついてるのかしら!?!」
「いえ、心の声です」
「心の声を口に出すんじゃなくってよ!!」
「はい……」
「で、なんだったかしら」
「貴殿は高位の生霊なので……?」
「頭が高い!!!!!!」
「どうすれば……」
「で、あなた方を呼びづらいので便宜上それぞれ別々の名前で呼びたいんだけど……」
俺は彼女(?)たちに説明し続けた。
「まぁ!汚らわしい!!下位生物であるお前が、わたくしに名をつけるなんて」
さっきと言ってることが違う……
「この高慢ちきな子はグラ」
「!?」
「俺と先に話したご高齢……?の、あんたはデミ」
「……」
「おそらくあんたがたは浅荷のことをデミグラスソースの思い出でしか記憶していないようなので……その子の名前が浅荷だっていうことをお教えしたい。そのうえで、せっかく覚えていた名前を無駄にすることなく、お二人と縁ある名前として保持なさってはいかがだろうかと……」
「わしがデミなんていう名前だったとは思えんが、お前がそう呼びたいなら」
「ふんっ、わたくしにグラなんて地響きみたいな名前をつけたいなんて」
三者三様だと思った。
「でも、悪くないわね」
そうではなかった。
「嫌がらないので……?」
「嫌よ」
そうでもなかった。
「でも、その言葉には拭いきれない何かを感じるわ」
「その……簡単に扱ってはいけないと重々承知なのだが、申し訳」
「小僧、わたくしそろそろ消えるわ。一瞬姿を見せてやってよ」
その声が消えると、青い炎のような光の柱が立ち、俺はその中に確かに動物のような耳が生えた少女の姿を見た。