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ぼくとモルカー(PUI PUI モルカー 第7話どっきり?スッキリ!感想)

羊毛フェルトを使ったストップモーションアニメ、モルカーの7話が更新されました。

ぼくとモルカー

ぼくはいつも更新された日に感想を書こう書こうと思いながらも何故か書けないでいる。「notesを書くために観ている」然とした気分で観るのがもったいないなと思ったり、「明日も面倒な日なのに可愛らしいアニメを観るのは何か違うな」とか思ったり、単純に何か急激にその日notesに書きたいことはそうではなかったりと理由は常に前向きだったりネガティブだったりするような気がします。

モルカーも気分の上げ下げがあるアニメだと思っています。

解りやすい処でいえば、世間一般的な感想であるところの「モルたちは純粋だが、人間たちの意識にその純朴が振り回されたり傷つけられたりしている」というような上げ下げ。

モルたちはこの上なく可愛らしいキャラクタとして物語を構成しているが、主にモブキャラクタである人間たちは(物語にとって)何らかの異質な意識に基づいて生きている。殊モルカー世界に於いては。なんなら平気で主役たるモルカーに迷惑を掛けることだってありますね。例えるならちびまる子に平気で手を挙げる関口みたいなものでしょうか……

狂言回しと必要悪

関口について述べると余りにも脱線してしまいがちなのですが、物語の狂言回しとして関口は大野や杉山に討伐されるための悪役として徹底的に根性悪く意地汚く描写されることが多い。

そうかと思えばちびまる子に何かしらの恩返しや意趣返しをするような向きもある。

展開に都合のいいキャラクターとして扱われるわけですね。

サザエにおいて物語を進行させるためにサザエが極端に理不尽に一貫性のない性格として描写されるのと非常に似通っています。ある意味サザエも関口も脚本の被害者と言えるかも知れない。おそらくは被害者の生じない脚本作りが物語のスタンダードであろうと思われるが、この通りプロの製作するプロダクトでも被害が生じている。況(いわん)やサザエでは主役を哉(や)という状態にまで陥っている。

いかにプロの世界で物語を物語然として成立させるのが難しいかを推して知ることができる現象だと思えます。

ましてモルカーはクレジットから解る通り非常にスタッフが少ない。

原案こそ監督名の他に2社が名を連ねていますが、企画や宣伝等を除けばストップモーションを実現している人数は10名にも満たない。

監督が物語を綴らないのであれば、およそ東京のメジャーな放送局が発信する子ども向けアニメとして成立しません。さらに分が悪いことに、同時間帯どころか大体24時間ぐらい教育関係の番組製作をおこなっている局がNHKに存在します。同時間帯にはピタゴラスイッチや英語であそぼ、にほんごであそぼというようなキラーコンテンツが放映されています。子どもをキラーしてしまうのは表現として些か物騒に感じますが。

7話雑感

前置きがかなり長くなってしまいましたが、モル感に移りたいと思います。今回の予想はこちらで、モルカー世界の常識改革のような可能性について感じたりしていました。

ウェスタンハット系モルカーが登場する話でありながら、題名はそちらには依存していない様子。「荒野のモル」とかそういう題名ではないということですね。

また今回のタイトル背景ですが人参の形をしていたとのこと。

言われなければ普通の地図だと思ってしまっていた。むしろリスナーにそれを気づかせないほど丁寧に作り込まれていたとも言えますね。現物は大人向けRPGに登場する航海図のそれと同じようなクオリティであると思います。

以前も触れたように思いますが、子どもの気づき=注意力は恐ろしく研ぎ澄まされている場合がある。つまり大人に向けて「それっぽい」と思わせられるほどの品質でない限り、子どもにとっても満足してもらえるコンテンツ足り得ないということを物語っており、モルカースタッフはそういったことを余裕で理解していらっしゃっている状態で製作に携わっておられるように感じます。

7話感想

インディー・ジョーンズのメインテーマを彷彿とさせる譜割り・リズム割りのBGMを背景に、モルカー単体どころか人間ですら到底体験し得ないようなトレジャーを手にしたモルカーが登場。

「それなりの体験をしてそこに立っている」という裏付けが行われています。財宝は人参の形をして浮遊している。

身体から落ちる泥や蝿のたかりに他のモルカーは怯えているようです。当のトレジャーモルは無表情なため、何も感情が得られない。殊モルカーにおいて主役級のモルは無感情に描写されることが多い傾向にあるのかも知れません。里見さんの物語造りとして、主役級を狂言回しとする際にはそれが一番都合が良いのかも知れない。

今やそのモルが立っている場所はトレジャーハンティングの現場ではなく、我々が見知ったカラフルなモルカータウン(仮名)ですね。この微妙な存在のミスマッチを際立たせている。

とはいえ本当に、トレジャーモルはどういう動機でなぜそこに立っているのか不思議で仕方有りませんね。自分の得た経験を自慢するでもない、自分が見つけた壮大な宝を見せびらかすでもない、未開拓の地あるいはかつて栄えた文明がそこにあったであろうことを感じたことを発露することもない(後述のようにある一定の会話があったかも知れません)。

そのように異質であるトレジャーモルを怯えていたモルたちが自分の鼻先を使って押し出す。どこかに移動させています。ぼくはモルを動物目線で見ているため、鼻から何らかの刺激が襲いかからないのか不安で仕方有りません。

その間に見られる特徴的な看板は「モルカートラブルリペア屋」のようなもの。非常に芸が細かいですね。

またたどり着いたモルカーウォッシュスタンドは起動スイッチ以外は全自動の様相。見慣れないのか今度はトレジャーモルが怖がりますが先程の怯えモルたちとの対比が面白いですね。ここまででまだ1分。全体の半分です。なんという情報量でしょうか。

そして冒頭の勇ましさはどこへやら泣いてまで怯えるトレジャーモルを奮い立たせるために宝の地図を用意するモルたち……(・ω・)このような表情の絵が非常に可愛らしいモル地図ですが、一体どのタイミングで書かれたのでしょうか。スタンド店員に書かせたのでしょうか。スタンド店員への伝え方は?トレジャーモルの持参地図を見せた?またトレジャーモルのハント生活についてどこで情報を仕入れたのか。彼を移動させている最中でしょうか。

とか考えるのは全くの野暮。ぼくは視聴中にそんなことは考えも付きませんでした。すべてを自然・必然のものとして受け入れた状態です。モルカーを楽しむためには重要なスタンスです。

モルカーがモルカーの性質を理解し、利用するという7話目にしてかなり特殊な描写が行われました。予想では常識に革命が起きるのだろうかとぼくは考えていたようですが、事実はそれを凌駕していた。話の落とし方も非常に美しいです。例によって文面で落とし所まで記述するのは避けます。

後記

毎回モルカーを楽しみに取っておいて良かったと思える内容が毎週提示されていて、製作者のプレッシャーはかなりのものだと思えてしまいます。楽しく製作されていることを思うばかりです。

それではお付き合いくださりありがとうございました。

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中村風景
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