理想の朝
毎朝このような状態で一日を始められたら理想だなと思った、エッセイの中の一節があります。
著名な染織家である著者の、三十代で染織の道に入ってから「織りに織ってきた」数十年の日々を表した言葉。
上記の文章の後には「知らぬ間に織場でデザインし、染場で糸を染め、糸を繰り、整経し、機にむかっていた」と続きます。
今日はこれをしたい、これをしようと胸一杯にやりたいことが広がり、仕事に向かうのが待ちきれない思いで始まる一日。毎朝そんな気分で目覚められたら、とても充実した一日になりそうです。
また別の本で、こちらも好きな一節です。
調香師として活躍されている著者が、フランスのパリで調香の勉強をしている時のことを表した文章。
朝のフレッシュな心身で、まず前日作った香りをチェックする様子は、夢にまっすぐに向かう日々の一端を見ているよう。前日の作業を引き継ぎつつも、まっさらな心身で、夢や情熱を感じることに向かう新しい一日。こちらもすてきな朝の始め方だと感じます。
ちなみに新間さんの同じ本の中に出てくる、南フランスのニースに住んでいる人との会話の中で、その人の
「朝に海で泳ぐと、気持ちよく身体が目覚めるんだよ」
と表現されている朝の始まり方も、想像するだけでも清々しい気持ちになります。
何でもない朝でも、丁寧にコーヒーを淹れて香りを楽しみながら味わってゆっくり飲む時間もいいし、旅行などをした後には、毎朝旅先にいるような気分で過ごしたいなと感じます。今日はどんなものを見られるか、ここにいる時間を目一杯味わおうという姿勢で。
毎朝、目の前に広がる新しい一日。
朝いちばんに何をするかは、新鮮な心身にまず何を入れるか。可能なかぎり、やりたいことや好きなこと、明るい気持ちで自分をいっぱいにしたいもの。そして新しい一日を大切にする姿勢で過ごしたいと思います。