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フワリと吹き抜けたのだった
いつのまにか、この時間でもずいぶんと明るい。
ゆっくりと前をゆく車のテールランプが、夕日をあびてキラキラと輝いた。
もう季節は初夏をつげている。
車内に流れるボブ・ディラン。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」のサビを、鼻歌まじりに口ずさむ。
世の中がこんな時でも、空はキレイに暮れてゆく。
そしてディランは心に沁みるのだ。
ふと、前の車内を見ると、永ちゃんがマイクを握りしめている。
矢沢永
泥にまみれた雪に願いを
雪解けの頃、雪はその無垢な白さをすっかり失ってしまう
泥にまみれた汚れた雪は、皆から疎まれる存在でしかない。
そんな汚れた雪に、ぼくは不思議と少しの優しさを感じるのだ
それがまるで、冬の思い出の名残りみたいに感じるから
冬の間の色々な人たちの思い出が、今まさに消えつつある名残り
決して素敵な思い出ばかりではないだろう
毎日を懸命に暮らしてきた名残り
一人ひとりの冬の生活が、そこには確かに
汚れちまった雪よ。春よ。
寒さが緩み、雪は解けはじめる
黒く汚れた雪が、路肩にだらしなく残っている
雪で覆い隠していた汚れたものたちが、春が近づきバレちゃった、かのように
通り抜ける風は、澄みわって爽やかだ
春というには、まだ空気は冷たいけれど、眩しい陽射しだけが、春が近いと感じさせる
ああ、ぼくは春を今かいまかと待っている
べちゃべちゃとした足下を、わざと気にせず歩いてみる
それが春を呼び込む儀式なのだ
また今
あなたのことを今日は思っています
12月のJR
電車はゆっくりとホームを離れて行きます
車内をぼんやり映しだす大きな窓
それを通して眺めるネオンは悲しいですね
新型コロナですものね
君は元気ですか
今、何をしていますか
ボクは電車にこうして揺られています
明るい顔
疲れた顔
悲しい顔
マスクをした顔、顔、かおです
よい年末でありますように
あなたのことを今日は思っていますから
こちらはなんとかやってます
Why it is there
unison LIFE朝からの雨
少し憂鬱な気持ち逃すよう
にじむ窓をそっと開けると
すーと夏の風が吹きました
不意にチリリと
あの日の君を思いました
好きだった匂い憶えてます
君の顔少しづつかすれて行くのに
思い出はこんな一瞬のためにあるのでしょう
あの日に戻りたいとは思わないけど
ただ君の髪に顔をうずめ
明日からのこと
考