途中から涙が止まらなかった理由を考える。82年生まれ、キム・ジヨン(映画)
有給消化しておこうとお休みを取り、いざ近所のイオンシネマへ『82年生まれ、キム・ジヨン』を観るべく、チケットを予約しようと思ったら、サーバーダウンで繋がらず。劇場版鬼滅の刃のチケット予約開始日だったんですね、恐るべし…!
全体を通して、女性の生き辛さがジヨンを通してものすごく丁寧に描かれていました。
私自身は子育て未経験ですが、今までの人生とジヨンを重ねて共感したり、苦しくなる部分も多かったです。
序盤「旦那さんも(外野から見れば羨ましくなるくらいに)優しくて協力的なのに、なんだかうまくいかない。お互い苦しいんだなあ…」と思いながら見ていたのですが、
途中から堰を切ったように涙が溢れて止まらなかったのは、大学卒業直前、就職が決まっていなかったジヨンに「結婚しろ」と言った父親にブチ切れた母が
「思う存分、好きなように生きなさい」
と、ジヨンを励ますシーンでした。
これは私が30歳を目前としてから言われなくなった言葉。
学生時代は両親をはじめ、周りから好きなことを頑張ってね、なんて言われていたのに。
今は両親にも義両親にも親戚にも「子供は?早くあなたの子供が見たいのに」と、もう会うたびにそれしか聞いてないぞくらいの勢いで言われてうんざりしていた私に響いたのだと思う。
この歳になると、仕事を楽しく頑張っているだけでは周りが納得しないのだ。
子供を産んでこそ女性の幸せ…なんて事はさすがに言ってこないにしろ、『産んだほうが、あなた達夫婦にとって幸せでしょう?』と信じて疑わずに言うから不思議で、でもしょうがないから聞き流して、あとで思い出して苛々を繰り返す。
他にも物語の途中で挟まるジヨンの幼少期、学生時代、就職してからの出来事を経て、心がだんだんボロボロになる感覚。エンドロールが流れる中、思い出してはじわじわ込み上げるものがありました。
母になってからのアイデンティティクライシスのような感覚は、見ているだけでもゾッとする。
女性だけではなく、「男だから」なんて事もあるし、私だって女性男性問わず無意識にバイアスを持って見ている自覚がある。
生き辛さを作っているのは"誰か"じゃない。決して他人事じゃない。これから性別問わず生き辛さを感じない世の中になるよう、努力しなければならないと考えさせられる映画でした。
色々な人の感想を読みたくてネットを巡回していたら、どうやら原作と映画では終わり方が違うようですね。
原作未読だったので、希望が見える終わり方に救われた自分がいましたが…。
原作・著者の後書き・解説も読みたくなったので、映画を観終えてすぐ本屋さんに行き、買ってきました。