本を読むこと。 ~ あなたが世界のためにできるたったひとつのこと ~
私の人生に影響を与えた一冊をご紹介する「本を読むこと。」、今回はオーストラリアの哲学者、ピーター・シンガーの著書「あなたが世界のためにできるたったひとつのこと」をご紹介します。
本書は世界をより良い方向に一歩進めようとする、シリコンバレーや欧米の若者たちに注目される「効果的な利他主義」を、その理論的支柱でありムーブメントを牽引する哲学者である著者が、理性と共感とテクノロジーを駆使して、効果的に「もっとも多くの命を救う」、21世紀の新しい生き方を始めるための一冊となっています。
効果的な利他主義とは
いま、ミレニアル世代を中心とした新しいムーブメントとして「効果的な利他主義」があります。
効果的な利他主義とはシンプルに「私たちは、自分にできる〈いちばんたくさんのいいこと〉をしなければならない」という考え方をいいます。
いま流行りのシンプリストやミニマリスト的な生き方もここに繋がっています。
本書に登場するのは、最低限のミニマルな生活をして、収入の大半をチャリティや社会奉仕活動に寄付している方々です。
紹介されている方々のバックボーンは様々ですが、そのほとんどが「与える」ために働くという選択をしており、より効果的で社会的にインパクトのある活動への貢献のため、寄付金の意図と用途が明確で透明性のある活動への寄付を行っています。
しかしながら、与えるために稼ぐという生き方は、社会貢献の手段としてかなり特殊な方法です。
それができる能力、つまり成功できる程度に興味ある仕事を見つける能力と、収入の大部分を効果的なチャリティに寄付するという強い意志を保ち続けられる人なら、これは倫理的なキャリア選択になりますが、大半の人にはかなり難しい選択だと思います。
効果的な利他主義の選択肢
しかし、効果的な利他主義には他にも多くの選択肢があります。
例えば、旗振り役として自分と同程度収入のある人を利他的な生き方に引き込むことで〈たくさんのいいことが出来る〉と考えること、
官僚として銀行などの投資部門で働いて、投資をより効果的な慈善事業に投資、運用すること、
研究者として、どの政策やチャリティ、組織への介入がもっとも世界をよくするために効果的であるかを見極める研究を行うこと、
社会起業家と活動家としてこれまでにない組織を立ち上げて、以前は存在しなかった恩恵を受けられる人をつくること、
本書には他に慈善事業を評価するシステムやサイトの活用方法や、効果的と考えられるチャリティがどのようなものかについて、各研究結果や与えるインパクトの大きさからロジカルに考察しています。
利他的な生き方は自己犠牲を伴うか?
本書で出てくる効果的な利他主義者の多くは、他の人のための自己犠牲ではなく、自分の幸福のために利他的な行動をしていると考えています。
利他主義という概念は必ず他者への思いやりが含まれますが、それ以外については人によって理解が異なります。
私自身も例え与えることが幸せに帰結していてたとしても、与えるために「自分の幸せを犠牲にしてはいけない」と考えています。
「利己的な遺伝子」の著者、リチャード・ドーキンスは著書で、我々「ヒト」の遺伝子は自己の複製を数多く残すことつまりどこまでも「利己的」に振舞うことで進化してきましが、人間は長期記憶と個体識別の能力がよく発達しており、互恵的利他主義は、人間の進化においても重要な役割を示したと述べています。
誰かのために何かを行うことは大きな視点でみれば結果的に人類が繁栄し、未来にもヒトが生きることにつながっていきます。
私たちは互いに協力し、繋がり、ここまでの繁栄を築いてきました。
それは脳の働きやホルモンの働きによっても証明されている事実です。
日本人の平均年収は約400万円ぐらいと言われていますが、これでも世界規模でみれば上位の4%に入るそうです。
世界の中央値は約年収10万円ぐらいであり、つまり、年収が10万以下の人が世界の半分を締めているということです。
もちろん幸せの価値はお金だけで測れるものではありませんが、本書を読んで、もう少し大きな視点で自分にできることは何かを考えるきっかけになりました。
小さなことですが、私はクレジットカードなどで溜まったポイントやふるさと納税を利用して災害寄付などに当てています。
コンビニで現金で支払ったときに出たお釣りはなるべく募金箱に入れることにして、定期的に献血に通っています。
お金に限らず、災害ボランティアやゴミ拾い、自分の使ったトイレや洗面所の清掃など「誰かのため」にできることはたくさんあります。
本書は私の小さな勇気を膨らませ、行動を起こすきっかけとなりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
紹介図書②
ピーター・シンガー著「あなたが世界のためにできるたったひとつのこと」
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