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旅先を知ること ~ ワイルドサイドをほっつき歩け ~
実は11月にイギリス、ロンドンに行こうと思っている。
娘も14歳となり、しばらくは家族で大規模な旅行は計画できないだろうと思い、一念発起、チケットを手配した。
なぜロンドンかというと、特にあまり意味はなく、パリやイタリヤ、スペインのほうが魅力的だったけど、たまたま娘と嫁が始めた英会話の講師がイギリス人だったこと。
英語を使うための修学旅行みたいなものである。
旅をする上でその土地の文化や歴史、そこに住む人々の社会を知っておくと、旅の奥行き、深みがぐっと増すように思う。
そう思い、図書館でガイドブックではない、イギリスを知るための本を探して出会ったのが、ブレディみかこ氏の著書「ワイルドサイドをほっつき歩け」である。
こちらはブレディさんの夫とその周辺のお友達、いわいる労働者階級に属するおじさんたちの悲哀を描いたノンフィクションルポであるが、そこに住まう人々の息遣いや姿勢まで感じることができる。
政治的、社会的背景がいかに生活に影響を及ぼしているのか、これもまた、前回紹介した「ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた」と通じる現場感がある。
EUからの離脱という舵を切ったイギリスであるが、ニュースでは伝わらない現場感、背景は非常に興味深い。
しかし、それと本気で向き合って、考え、戦うおじさんたちの姿もまたかっこいい。
やはり日本は政治に対する「熱」を失っているように思う。
政治によって私たちの生活が良くなるわけでも、そして悪くなるわけでもない。(いや実際には悪くなっているのかもしれないが、気付かないうちに、こっそりとなっている感が否めない)ことが要因だろうか。
現在、日本では自民党の総裁が誰になるか、報道が過熱しているが、実際にそこに生きている人たちはどこか遠くの世界のできごとを眺めているようである。
本書の第2章ではイギリスにおける世代、階級闘争について細かく記載されているが、先日紹介した「#Z世代的価値観」を読んでいたこともあり、非常に興味深く読んだ。
日本の世代間闘争はアメリカのそれよりもイギリスのそれに近いような気がする。近代における歴史的背景が結構似ているためだろうか。
現在日本が抱える問題とリンクすることが多いように思う。
世代の理解を深めたい方は「#Z世代的価値観」に引き続き本書をも読んでみると理解が深まると思う。
なんとなくではあるがイギリスに住んでいる人の歴史的背景や匂いを感じることができ、旅行が少し楽しみになってきた。
ガイドブックに乗っているような観光地にでかけるのもいいが、英国のパブでビール片手に、政治や社会の不満について語り合っているおじさんを眺めてきたい。
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